映画レビュー 「パリタクシー」
(C)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTÉMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION「パリタクシー」とあったからパリのタクシー運転手の悲喜こもごも、日常を描いていると思ったけれど、原題が”Une belle course”で”美しき旅路”なんて出てくるから、思った内容と違うと予測できた。冒頭の客と運転手のひと悶着があって、パリを知り尽くしている運転手だと認識させるがそれがアイロニー(皮肉)なのかもとも思えてしまう。 物語は遠路のタクシーを依頼された45歳の運転手。金に困っているので引き受けた。お客は92歳の老女。孫と祖母くらいの年齢差の珍道中(?)を描く。 第二次世界大戦前に生まれた彼女は16歳で連合軍によりパリ解放を経験。そこで出会った米軍兵士と恋に落ちる…。 彼女の人生を振り返りながら老人ホームに入るというので送っていくタクシー運転手は当初の不愛想から愛着を見せるようになる。 彼女の人生の終末期に出会った二人の交流は予測できた結末をむかえる。この作品のクライマックスには予測できた内容であったけれど涙した。心をふるわせる一本である。 調べると”course”にはタクシー料金の意味があり、「素敵なタクシー料金」と訳せば、原題の意味が十分伝わると思える。2022年/フランス/91分/G監督:クリスチャン・カリオン脚本:シリル・ジェリー、クリスチャン・カリオン出演:リーヌ・ルノー、ダニーブーン、アリス・イザーズ、ジェレミー・ラユルト、グウェンドリーヌ・アモン、ジェリー・デラルム、トマ・アルダン、アドリエル・ルール原題:Une belle course(「素敵なタクシー料金」) お薦め度「パリタクシー」★★★★(80%)字幕翻訳:星加久実