雨隠り物思ふ時に
ほととぎす
我が住む里に
来鳴きとよもす
(『万葉集』巻15・3782)
万葉人のほととぎすへの関心は
専らその鳴き声にあったといいます
初夏の景物として
「五月雨」や「卯の花」などと共に多く詠まれてきました
このほととぎすが
鳴いていたんです・・・
どこで
鳴いているのかしら・・・
じっと耳を澄ませながら
遠くに見える桜の花びらが
ゆらり
ゆらり
ゆらり
舞ってくる裏山を眺めてみました
古への思いが
喚起してきたら
ぽつり
ぽつり
心に雨が
降ってくるようでした
霞立(つ)
春の山辺は
遠けれど
吹(き)来る風は
花の香ぞする
(『古今集』103)
そう・・・
山の桜の花びらが
遠く霞んで見えたのは
涙じゃない・・・よ
山辺から
吹いてくる風にのって
たくさんの思いと
花の香が
やって来たから・・・
大丈夫・・・