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日本が自滅の道を歩むのは、日本が持っている富が利権に奉仕するために消費されるので、それがやがて食いつぶされると言うことが見えているからだ。その利権は富を生み出しているのではなく、誰かの犠牲の上に富を食いつぶしている。その犠牲として倒れた人々がやがて誰もいなくなったところで破滅が見えてくるようになってくる。破滅が見えてきたらもう手遅れだ。その前に破滅への道を理解して何とかしなければならない。
石井鉱基さんが具体的に分析する利権の姿を見て、どのように利権が富を食いつぶしていくか見ていこう。最初に分析するのは「道路特別会計」だ。ここにどのように金が入ってきて、どのように金が出て行くかを見れば、利権が富を食いつぶす様が具体的に見えてくる。 収入の中心になっているのはガソリン税(揮発油税)で石井さんは次のように書いている。 「ガソリン税収は年間3兆円弱で、その4分の1が直接、道路特会に入る。残りの4分の3はさらに2ルートに分かれる。いったん一般会計に入れ、そこから道路特会へ入るのが一つ。もう一つは交付税特会に入ってから一般会計経由で道路特会に入る。石油ガス税もガソリン税とは別に二分割で道路特会に入る。さらに軽油引取税、自動車取得税、自動車重量税が道路事業に使われる。NTT株売却益を使った産業投資特別会計からの無利子融資もこの特会に入る。」 この複雑な流れは文章だけではわかりにくい。石井さんの本では図解して説明している。とにかくなぜこれだけ複雑な流れにしているかと言うことはよく考えなければならないだろう。これは流れを見えにくくすることが目的だと思われる。流れがよく見えてしまうとそれが利権に消えていることがすぐに分かってしまうからだ。 これらの道路に関する金が、本当に道路の整備などのために使われていればまだましなのだが、多くは利権に消える。だから石井さんはこれを廃止しろと主張しているのだが、この税金が残り続ければ「目的税としてのガソリン税などと道路特会がある限り、道路整備事業は自動的に、無限に続いていく仕組みになっているわけだ」という石井さんの指摘の状況が続くことになる。 さてこの金の出方なのだが、利権の流れには道路公団とそのファミリー企業が使われている。これらの企業では、実際の働き以上の金が道路特会から回る仕組みになっており、それらを官僚などの天下り組などが利権として受け取っていく。次のような記事からその具体的な姿が伺える。 「2002/08/08 (産経新聞朝刊) 追跡「道路公団改革」 第2部(3) 【ファミリー企業】 “天下りの連鎖”で増殖 ( 8/ 8) 」 http://www.angelfire.com/la3/hayawasa/isiikoki14.htm ここには次のような記述が見られる。 「JHが公表しているファミリー企業は八十二社と五公益法人。JHだけで計四百五人が役員として天下っている。藤井治芳JH総裁は七月四日の民営化推進委で「八千八百人の社員がかたずをのんで、自分たちはこれからどうなるんだろうと気にしております」と述べるなど、ことあるごとに「八千八百」という数字を強調している。 だが、元JH幹部は「故意に組織を小さく見せようとしている。JHはファミリー企業を含めると四万人、パートを含めると八万人の巨大組織だ」と指摘。「ファミリー企業を根本から整理し、透明性を確保しなければ本体を民営化しても立て直しはできない」と訴える 。(道路公団民営化取材班)」 利権にぶら下がる人間がこれだけいると言うことは、本来国民のために使われなければならない金がこれらの利権に不当に流れていると言うことだ。 「日本道路暴力団株式会社」 http://wakky18.fc2web.com/trash/kuruma/sih.html と言うページに書かれているものはフィクションと断っているが、笑い話としては面白いと思うが、本当だったらこの国の利権の闇の深さを教えてくれる。そこでは、 「★道路暴力団は、黒字なのですか? もちろん黒字です。ただ、あまりにも大量の黒字が出ているため、ハイウェイカードの横流しや、採算度外視のサービスエリアの独占営業、無駄なトイレ清掃、といった事業を市価の数倍の金額で丸投げし、利益を減らして税金逃れをしております。このため、身内は非常においしい思いをしており、その分国民が不幸な目にあっておりますので、今後とも利権を拡大して身内を増やすことにより、幸せになれる人を増やしていきたいと思っております。」 と書かれている。「事業を市価の数倍の金額で丸投げし」という言葉の信憑性を調べて欲しいものだ。おそらく事実ではないかと思うだけに。これらに対しては、石井さんは次のような指摘をしている。 「誰かが潤っていると言うことは、誰かがその分を負担していると言うことだが、言うまでもなく、ガソリン税などを納めている国民全員の負担である。 この負担は結局、運輸、流通、製造など多くの産業分野にかかってくる。すなわち、これらの産業で使うガソリン代や通行料などが、世界に類例のない高価格のものとして直接国民生活に跳ね返る。他方では、高いガソリンは生計費を押し上げるから、従業員の給与水準も引き上げなければならず、それが物価に反映されるという側面もある。 つまり、ガソリン税を道路の特定財源とするシステムによって、政治屋と官庁の天下りだけが潤い、政治系土木業者が食いつなぎ、それ以外のすべての産業が犠牲を払うという構図になっている。これが日本経済全体にとって大きなデメリットになっていることは言うまでもない。」 利権が多くの人の犠牲の上に不正な富を流しているかと言うことが石井さんの指摘でよく分かる。道路公団の改革は利権の改革のためにこそ必要だったのだが小泉内閣は徹底できなかった。それを担当したのが新都知事の猪瀬氏だと言うことはよく覚えておこう。 無駄な高速道路がなぜ作られるかと言うことも利権の視点で見ればよく分かる。石井さんは次のような指摘をしている。 「1キロあたりの建設費の単価は、首都高速道路で1000億円、東京湾横断道で950億円となっている。山の中の高速道路でも100億~200億である。日本の高速道路は、金を敷き詰めているベルトだと言ってもいい。」 この利権の中にいて富を得ている人々は、この利権無しに生きられないようにされてしまっている。壊そうとすれば猛烈な抵抗をしてくるだろう。それが国を根本から破滅に導くと言われても。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.12.27 23:06:16
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