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カテゴリ:アクション
「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」 007 The World Is Not Enough 1999年 イギリス映画 監督 マイケル・アプテッド 出演 ピアーズ・ブロスナン ソフィー・マルソー デニス・リチャーズ ジュディ・デンチ デスモンド・リュウェリン 007を一気に観ようシリーズ第21弾です。(ラス前です。) 今回はシリーズ、第19作、ブロスナン・ボンド3作目で、珍しくボンドガールに名の知れたスターを起用した作品です。この次作も、ハル・ベリーを起用しているので、ひとりは名の知れた人を使おうと、路線変更したのかもしれません。それって、主役に不安を持っているということですかね。 よく考えたら、1作目・ショーン・ビーン、2作目・ジョナサン・プライス、と、ブロスナン・ボンドになってから、必ずひとりは名の知れたスターがキャスティングされていますね。M役にイギリスの大女優ジュディ・デンチを起用していることもあり、よっぽど主役が心配なんでしょう。(Mが彼女になってから、今まで任務を言い渡す時ぐらいしか出番がなかったのが、明らかに活動的になり、出番が増えていますね。6代目ボンドになってからは、より顕著です。) 007ことジェームズ・ボンド(ピアーズ・ブロスナン)は、石油王のロバート・キング卿に返金される大金を奪取する事に成功し、キング卿が大金を確認するためMI6に訪れます。ボンドがM(ジュディ・デンチ)への報告中、その大金に爆弾が仕掛けられていることに気づき、止めようとするが間に合わず、キング卿は爆死してしまいます。ボンドはQ(デスモンド・リュウェリン)が開発中の小型ボートで、犯人と思われる女暗殺者を追いますが、激しいボートチェイスの末、女暗殺者は気球と共に自爆します。 009に銃弾を頭に撃ち込まれるも死なず、そのせいで痛みを感じない体となった不死身のテロリスト“レナード”が真犯人だと睨んだMI6は、キング卿の娘であり、レナードに誘拐され、自力で脱出した経験があるエレクトラ・キング(ソフィー・マルソー)が次に狙われると判断、ボンドに彼女の警護を命じます。 そんな時、レナードによって核弾頭が盗まれ、キング社の石油パイプラインにその核弾頭が仕掛けられようとします。ボンドは、科学者のクリスマス・ジョーンズ(デニス・リチャーズ)や元KGBのズコフスキーらと協力しながら、レナードを追ううち、彼の背後に潜む本当の黒幕と石油独占計画を知ることになるのです。 いやー、びっくりしました。ほかのブロスナン・ボンドの作品と比べ、ストーリー的にしっかりしているので、驚かされました。なかなか面白かったです。ネット上で語られている本作の感想の中には、「007には珍しい、複雑なストーリー」と評しているものもありましたが、僕は決して複雑とは思いませんでした。ストーリーに裏があって、ひとひねりされているのですが、他にもいろいろ二転三転しているサスペンスなども見ているので、普通に見たまま、面白いストーリーと思いました。(まあ、スパイものとは言いつつも、アクション色が強く、ミステリー色が少ないのがこのシリーズの特徴ではありますが。007に慣れている人は、同じスパイものとはいえ、「ボーン・シリーズ」なんて、まったくわからないでしょうね。) この映画、なんといってもソフィー・マルソーですね。 十代半ばで主演デビューを飾り、一気に世のアイドルと化した彼女は、順調にキャリアと歳を重ね、非常に美しく色っぽく演技のできる女優に成長しました。この映画の公開時33歳で、まさに女盛りの美しさと色っぽさです。(でも、僕的には、もうひとりのボンドガール、ちょっと幼い感じでかわいらしい、デニス・リチャーズの方がタイプなのは、このブログをずーっと見ている方々には周知の事実でしょう。) 石油王キング卿のひとり娘として登場してきた彼女は、護衛のためやってきたボンドを、あっという間に誘惑し、すぐにベッドを共にします。いつものように、登場する美女とことごとくベッドインするジェームズ・ボンドですが、今回に限っては、彼女の方から誘ってきたように感じたのは私だけではないはず。(彼女に常に付き添っているボディガードが、ずーっとボンドを睨んでいるように感じました。「おめえ、ぽっと現れて簡単にお嬢様と寝やがって、俺なんかずーっと一緒にいるけど、そんないい思い1度もしたことないぞ。」って感じで。特に色の黒いドレッドヘアの奴。)まあ、ボンドでなくても、彼女の魅力にコロッと参ってしまうのはしょうがないでしょう。(実は、彼女の魅力にコロッと参ってしまった男が、もうひとり登場しています。それが誰かはこの映画のミソですので、秘密にしておきます。) 実はこのお嬢様にはこの物語の根幹にかかわる重大な秘密があるのですが、ここでは語らずに置きましょう。中盤で、その秘密が明らかになってきてからも、彼女は怪しい魅力を放ちつつ、男たちを手玉に取る活躍を見せつけます。(男だけでなく、Mもですが。) しかし、序盤、キング卿が亡くなってしまい、MI6の皆さんがお嬢様の扱いを含め、今後のことを話し合っているところで、かつてお嬢様がレナードに誘拐され、父親のキング卿が身代金を出し渋ったため、彼女は自力で脱出してきたという話が出てきたところで、僕は疑問を持ってしまいました。 エージェントでも軍人でも格闘家でもない、ただの大富豪のお嬢様が、百戦錬磨の国際的テロリストのもとから、どうやって自力で脱出したのであろうか、ということです。 また、ボンドと2人で元KGBのズコフスキーのカジノに行ったとき、100万ドル(日本円にして現ルートで約1億円ですね。)の一発勝負をし、あっさりすってしまって、まったく動揺していませんが、いくら大富豪のお嬢様といえども、違和感バリバリで、これはやり過ぎだと思いました。 この2つの場面は、観客とボンドに、このお嬢さん、何か裏があるなと思わせるための設定であることは明らかです。皆さん、ソフィーの美しい笑顔と、色っぽい背中にごまかされてはいけませんよ。 ということで、主人公のボンドも完全に喰われ、1番の悪役のレナードも陰に隠れてしまい、エレクトラお嬢様が映画を完全に支配していますが、ストーリー的には、シリーズ中1,2を争うのではと思われる作品でした。 なお、この作品で、007史上、最多出演(詳しくは、以前の「007 消されたライセンス」の記事参照です。)を誇るQ役のデスモンド・リュウェリン氏が、引退されました。作品中でも、MI6の秘密兵器開発担当のQとして引退し、後継者を紹介している場面があります。(この後継者に指名された彼は、ちゃんと次回作に2代目Qとして登場しています。) このデスモンド・リュウェリン氏、この映画のクランク・アップから間もなく、事故のため亡くなっておられ、本作が遺作となっております。ご冥福をお祈りします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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