ラスト7
「ラスト7」 THE LAST SEVEN 2010年 イギリス映画監督 イムラーン・ナクヴィ また変な映画を見つけてしまいました。 行きつけのレンタルビデオ屋のSFコーナーで見つけました。題名、そしてパッケ-ジの解説から、終末SFっぽかったので、監督も出ている俳優も無名な人ばかりで、思いっきりB級っぽかったのですが、借りてみました。 ウィリアムが目覚めると、そこはロンドンの町中の路上でした。町にはまったく人影はなく閑散としています。その上、彼は自分が何者なのか、ここで何をしていたのか、全く記憶がありません。 しばらく町をさまよっていると、6人の同じく記憶をなくした男女と出会いますが、全く状況がわかりません。 ウィリアムが目を覚まし、事情が分からずさまよっている場面から始まるのですが、開始から10分、話声はおろか、全く音がありません。なかなか大胆な冒頭ですが、そんな感じで、登場人物たちはおろか、観客も何もわからないまま、非常にゆっくりと話は進んでいきます。(進んでいないという声も) ただ、観客が退屈しないようにでしょうか、時折彼らの記憶がフラッシュバックされますが、いったい何が起こっているのか、あまりにも断片すぎて、全くわかりません。 しかし、戦争やテロなどで人々がいなくなったにしては、死体もまったく転がってなく、建物もどこも破壊されていません。本当に、初めから町のみで、人がいなかったかのごとく、あまりにも何も起こった風がないのです。 もしかして、これは人類終末ものではなく、○○や○○なのではと思い、だったらいやだなと思っていたら、ラストにきて、「ああっ、やっぱり。」と思ってしまいました。(一応オチは秘密にしておきます。)そして、「だったらSFじゃないじゃん、がっかりじゃん。」とも思ってしまいました。 死体も破壊もなく、7人の男女が記憶をなくして、全く無傷で残っているという状況、どう収束させるのか、それだけを頼りに、だらだらとゆっくり進む(進んでいないけど)話の展開に、眠気を一生懸命押さえながら、がんばって観続けてきたのです。 まあ、確かにつじつまは合っていますが、何か騙されたようで、納得できませんでした。 と思って、観終わった後しばらくボーッとしていたのですが、考えてみたら、つじつまが合っていないことに気がついてしまいました。 結末が○○ということは、最後にクローイが○○したということは、その前にヘンリーやジャックが○○したということは、あのロンドンの町は本当の町ではなく○○ということですよね。 でも、あの現実に起こった○○の場合だったら、位置関係からいって、アイザックやヘンリーやジャックやロバートは、即○○のはずです。 ウィリアムやイザベル、クローイは、その位置関係からいって、即ではなく猶予があってもいいわけで、あの場所で、さまよっていてもいいわけです。(だから、クローイが○○するのも納得なのですが。) つまり前者の4人と後者の3人は、位置関係からいって、状況が違うわけで、あの中途半端な場所をさまよっていていいのは、後者の3人だけのはずなのです。 結末を秘密にしたために伏字(○○)ばかりになってしまいましたが、この映画を観た方は、このぼくの指摘する矛盾がわかると思います。 まあ、○○ばかりになってしまって、よくわからないかもしれませんが、終末SFなど、ハードなSFが好きな僕が、いかにがっかりしているか、わかっていただけたかと思います。とにかく、残念な映画でした。 ちなみに、日本では劇場未公開の映画です。