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2012年11月04日
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カテゴリ:教育
「平成25年度に新設を予定していた大学3校の不認可」という田中真紀子文科相の判断が話題を呼んでいます。

平成24年11月2日、異例のニュース(過去30年で初めて)が流れました。

以下、「YOMIURI ONLINE」から引用します。


田中文部科学相は2日の閣議後記者会見で、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認可する答申を行った新設の大学3校について不認可としたことを明らかにした。

判断を覆した理由について、全国に約800校ある大学の質の低下が進む中、容易な大学新設は認められないと主張。審議会の抜本的な見直しにも着手することも明らかにした。審議会の見直しを行う間は、大学の新設を認めないという。

同省によると、審議会が認可した決定を大臣が覆すのは異例で、過去30年では初めて。

閣議後の記者会見で田中文科相は、文科省が先月、ずさんな大学経営などが続いた学校法人「堀越学園」(群馬県高崎市)に解散命令を出すことを決めた事例などを指摘。「大学教育の質が低下している。そのために就職が不可能ということにもつながり、大学同士の競争の激化で、運営に問題も出ている」と述べた。

(2012年11月2日 読売新聞)



対する大学側は、猛反発。お上には逆らえないとはいえ、降って湧いた話に唖然としてばかりもいられません。


「到底承服できない」

文部科学相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が認めていた大学3校の来春開校に2日、田中文科相がストップをかけたことに、大学の地元から強い反発が噴き出した。

「大学が多すぎ、質が低下している」。不認可決定はそのような理由だったが、3校に落ち度はなかった。開校を見込んで準備を進めてきた学生や大学側は突然の決定に振り回され、激しい動揺が広がった。

「直前に言われても困る。また一から考え直せというのか」
秋田市の秋田公立美術工芸短大2年の女子学生(20)は、来春、短大から生まれ変わるはずだった秋田公立美術大(4年制)の3年次に編入する希望を絶たれた。

「(田中文科相には)できれば考え直してほしい」と困惑気味に話した。

やはり編入を考えていた1年の女子学生(19)も「(短大卒業後の)就職は全く想定していなかったので、他大学への編入も考えなくては」と肩を落とした。

4日に予定していた美術大として初のオープンキャンパスも中止が決まった。

秋田市の穂積志市長は記者会見し、「我々は審議会から示された審査基準を一つひとつクリアしてきた。審議会は大臣の諮問機関であり、そこで許可したものを大臣が覆すのは行き過ぎだ」と怒りをぶつけた。近く文科省を訪ね、不認可の撤回を求めるという。

3年前から札幌保健医療大(札幌市)の新設準備を進めてきた学校法人「吉田学園」には1週間前、文科省から「認可に少し時間がかかっているが、手続きに問題はない」と説明があったばかりだった。それだけに鈴木隆・大学設置準備室長は「不認可」の連絡を受け、「あまりに唐突。とても受け入れられない」と憤る。教員約30人は既に内定済み。現在の職場に退職届を提出した人もいる。

来春、4年制大学の岡崎女子大(愛知県岡崎市)を開設予定だった学校法人「清光学園」の長柄孝彦理事長は2日夕、緊急記者会見を開き、「文科省が示している基準をすべてクリアしているのに認可されないのは理不尽。はい、わかりましたとは言えない」と語気を強めた。校舎の改修や備品の購入費としてすでに2億7000万円を投じ、来春から専任教員として新たに12人の採用を内定していた。

(2012年11月3日14時38分 読売新聞)



「秋田公立美術大学」HPより、「オープンキャンパス」ページ

opencampus

下に「文部科学大臣による設置不認可に伴い、中止となりました。」とあります。



11月4日時点で、3大学ともに文科省へ撤回を求める文書を提出し、田中文科相を訪ねる予定だそうです。

田中真紀子氏は、全国の大学一覧地図を持参し(職員に作らせたそうです)、大学の乱立が質の低下を招いたとして、これ以上新設の大学を認めない方針を打ち出しています。

確かに18歳人口は1992年以降減少を続け、一方の大学数は右肩上がりに増加の一途です(通信制大学を除く)。

具体的には、18歳人口は1992年には200万人近くでしたが、20年後の現在は120万人近くまで減っています。対して大学数は1992年に500校を下回っていたものが、現在783校(通信制大学を除く)となっています。対象とする人口が減る中、20年間で1.5倍にふくれあがったことになります

この傾向に従い、大学進学率も全国で軒並み上昇し、2009年には二人に一人が大学へ進学、昨年は56.7%に至っています

1989年には25%程度であった大学への進学は、わずか20年間で倍以上となり、現在も上がり続けているのです。

つまり、大学が増えれば学生数も増えて進学率も上がる。但し、そのあとは…、が問題化しています。

一つは新卒者の就職難です。大学とともに、高校や専門学校の就職にも大きく影響し、ひいては日本経済への悪影響も指摘されています。

さらに、就職難と同時に叫ばれる大学生の学力低下問題

学力だけではありません。昨年秋にはこんな記事がありました。


今春入社した新卒者の面接での出来事。多摩地区のある人気企業の採用担当者は驚いた。不意に泣き出した大学生がいたのだ。サークルで一番大変だったことを聞いただけなのに、感極まったらしい。ほかにも、集団面接ではあくびをしたり、指を鳴らしたり、のけぞって座ったり……。「こんなことかつてなかった」と担当者は嘆く。

本は読まない、勉強はしない、会話が成立しない――。多摩地区のある私大は、「ないもの尽くし」の今時の大学生に頭を抱える。「中学10年生か高校7年生と思った方がよいかも」。就職担当者は手厳しい。

(2011年10月4日 読売新聞抜粋)



一方で、海外へ飛び出す優秀な学生もいて、大学生の「格差」問題も取り上げられています。

上の現状や記事に注目すると、確かに「進学すべきでない大学生」が増えて、「不要な大学」が全体の質の低下と就職難の問題を引き起こしていることは一面の真理と言えるでしょう。

しかし、問題はそう単純ではありません。

大学数増加の問題は「政治」と深く関連する現象なのです。

1991年、文部省(当時)が「大学設置基準の大綱化」で学部の多様性を打ち出した。あやしげな名称の学部や学科が増え始めてきた時期です。その後、2003年度以降は小泉内閣が「事前規制から事後チェックへ」という方向転換を決め、新規参入を容易にして「規制緩和」をはかりました。現在では、何とわずか7ヶ月の審査で大学を新設できる制度となっているのす。

小泉内閣と聞いて思い出しました。「伏魔殿」発言で田中真紀子外務大臣を更迭した、あの小泉内閣です。田中氏は「前へ進めと言われ、進もうとしても、スカートの裾を踏んでいる人が居る」と、悔しさに小泉首相(当時)を批判しました。

この「更迭劇」の因縁が後を引いている感じが否めません。本当に、田中文科相は、日本の大学の将来を憂慮して「大決断」をしたのでしょうか。

この判断は「大学の混乱」や「学問の萎縮」を招いても、決して「質の向上」や「就職難の解消」には繋がらないものだと思います。

少し教育行政に興味のある方ならお分かりのように、11月には、既に来年度入学予定者のAO・推薦入試が終わり、施設の建築・改築も終盤を迎えています。学生募集だけでなく、教員募集も秋頃には全て目処が付いている(内定している)のが常識です。実際、カリキュラムの編成、時間割の作製も具体化してくる時期です。

田中大臣は、一体、どれだけの「犠牲者」が想定されると考えているのでしょうか。「現場を知らない」にもほどがあります

今回の問題が、かつての小泉内閣への当てつけ、現場を知らない思いつき、もっと言えば「真紀子流 大学を翻弄」(読売新聞による)して話題をつくるための戦略でないことを願うばかりです。

本当に大学行政の問題にメスを入れるならば、もっと大きな視点で規制の見直しや大学評価制度の再検討など、今後につながる政治判断を考えるべきです。とりあえず目の前の弱者を犠牲にして話題を作る手法には「拙速」としか評価の言葉が見つかりません。


また、これは単に教育行政だけの問題ではなく、最近の「明日を見据える」視点なき政治の傾向を象徴しているような気がします。


今後の動向に注目しましょう。





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Last updated  2012年11月04日 16時41分33秒
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