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2008.07.04
カテゴリ：PC『彼女たちの流儀』
『彼女たちの流儀』感想 第十一回
千佐都ルート完了。 更に進んでおまけシナリオもクリアした。 二人とも、ちょっとそこに座れ……。 ※以下、私の世界は優しいネタバレで満ちている 「鳥羽莉ってさ。本当は、すごく弱いんだと思う」 「鳥羽莉はいざとなると、どうしようもなく意気地なしだ」 鳥羽莉フルボッコ。 あんまり弱い弱いと言われると、反論の一つもしたくなってくる。 鳥羽莉は確かに臆病だが、それは彼女の優しさと聡明さから来るものだ。 永遠を生きる彼女にとって、胡太郎はどういう存在なのか。 胡太郎と長く一緒に居過ぎると、どんな結末が待っているのか。 恐らく鳥羽莉は胡太郎を殺してしまうだろうし、そうでなくても何時か望まぬ別れは訪れる。 それなら、せめて姉弟として永遠に胡太郎の記憶に残りつつ、 一定の距離を置こうと考えるのも頷けないことじゃない。 この思慮深さを弱さと呼ぶなら、それは仕方が無いが……。 ただ我侭に恋を貫くことだけが強さだとは、俺にはどうしても思えない。 相手のことを想い立ち竦んでしまう少女を、弱者と断じるのは偽善じゃないか？ それに考えて欲しいのだが、世界を塗り替えるほどの力を手にした時、 鳥羽莉が何を望んだか。 「私を殺してくれ」とは願わなかった。 「私を人間にしてくれ」とも願わなかった。 ただ「少しだけ考える時間が欲しい」と、そんなささやかなことを鳥羽莉は望んだ。 一方、胡太郎の願いは具体的だった。 その「鳥羽莉と対等の関係にしてくれ」という願いは、実際に叶ってしまう。 結果二人の外患は排除され、どこか白々しい「幸せな未来」が訪れたわけだが、 同時に二人の心身が成長する機会は永遠に失われた。 何故なら十数年をかけて、ゆっくりと埋めるべき溝は、 謎の「ご都合主義」によってあっさり潰されてしまったからだ。 俺には『月の箱庭』が提示した結末を否定できない。 何の憂いも迷いも無く、胡太郎と共に居る鳥羽莉の最高に幸せそうな笑顔を見て、 どうしてそれをぶち壊すような発言が出来るだろうか。 ホント無理。 鳥羽莉の流儀で語るなら、俺にとっては「鳥羽莉が笑顔ならそれが真実」だ。 しかし、時間を掛けても自分の力で成長していきたいと願った鳥羽莉の強固な意志の輝き。 それが『月の箱庭』には決定的に欠けていた、というか欠けざるを得なかった点だけは残念だ。 つまり観測者への態度からして、俺には鳥羽莉がそこまで意志薄弱な娘だと思えないし、 少なくとも全てを猫任せにした胡太郎よりかはマシだと思った次第。 だから、同じ笑顔で迎える結末ならば、俺は鳥羽莉通常ルートを支持する。 ここだけは、俺がこの作品を評価する上ではっきりさせなければいけない点の筈だ。  お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2008.07.04 00:11:00
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