『鬼畜王ランス』 感想
俺の認識が正しければ、地域制圧の概念をエロゲーに取り入れた先駆け的な作品。
システムは簡易だが、変に不親切なところもあった……。
いや、必殺技の出し方くらい教えてくれてもいいだろ。
戦争を繰り返してハーレムを拡大していくことが目的の超娯楽特化エロゲー。
難易度は適切で、燃えるイベントも多くて非常に楽しめた。
ランスは決してブレない悪人だから、ドラマはむしろ敵側にある。
特に重点的に描かれていたのは人間…ではなく、その上に位置する魔人。
十を越える魔人達は一人一人が個性的で、異なる性格と信条を持って生きている。
ケイブリス派、ホーネット派と分かれて争いつつも、それぞれの派閥が一枚岩では無く、
考えることはバラバラで、むしろ人間達よりも人間らしい連中だったような気がするな…。
俺としては、人間側が数千単位で小競り合いを繰り返している最中に、
大陸の西側では魔人同士が万単位で盛大に殺し合っている状況が非常に楽しかった。
「最後はこいつらと戦うのか」とちょっとブルってしまうくらいの感覚。
実際、一週目で碌に戦力も整っていない時に、
魔物の大群に一方的にボコられるのが一番楽しかったなぁ…。
攻略に頼らずに遊んで本当に良かった。
『鬼畜王』のランスシリーズとしての位置付けは、どうやら「外伝」に当たるらしい。
見た感じでは、当時における既存の設定を全て出し切ったという所か。
ゼスのマジック王女、JAPANの香姫などのアイディアも、ここで一度表に出されている。
メルフェイスという、リズナの原型になったと思われるキャラクターも居た。
つまりは、ランスシリーズがこのまま順調に続くとしたら、
何れ『鬼畜王』で登場したキャラクターが出てくることもあるだろう。
個人的には魔人の中でも最も思い入れが深い連中、
レッドアイやホーネットが出てきてくれると嬉しいな…。
次回作はヘルマンらしいから、レッドアイの出番があるかもしれない…。
奴とフリークとの死闘を、現在の解釈で再現したら面白そうだ。
色々と妄想は膨らむが、とりあえずここまでにしておこう。
俺が言えることはこれほど完成度の高いフリーゲームは他に無いだろうということ。
そう、フリー化されているから当然だが、俺はこのゲームに対して一銭も払っていない。
なんという奇跡。
毎朝アリス本社の方角に祈りを捧げても足りない気分だ…。
どうせ無料なんだから、少しでも興味がある人はガンガンやれば良い。
古いゲームだが、遊んでおいて絶対に損は無い。
後悔するとしたら、それはこのゲームに夢中になるあまりに眠れなくなった時だけだ。
少しでも多くの人がこの名作に触れることを願っている。