ポルタ・オリエンターレとライオンの柱
ミラノの中心地、大きなお屋敷や近代的なビル、そして交通量の多い道路に面して建っているのがサン・バビラ教会。すっかり経済とファッションの中心地という表情のこのエリアのなかで、ここだけ時代の流れに逆らっているような教会のたたずまいにはどこか心を惹かれます。教会の中もとっても素敵なのですが、私が以前から気になっていたのは、教会のスグ前にそびえたっている、石造りの柱 こんな感じで、柱の上にはライオンが、東に向かって目を光らせていますライオンが見つめる先にはポルタ・ヴェネツィアがあって、その先がショッピングエリアとして有名なコルソ・ブエノスアイレス(ブエノスアイレス大通り)。ポルタ・ヴェネツィアという名前のとおり、昔からこの通りはヴェネツィアを通ってオーストリアへと続く道でした。ミラノからイキナリヴェネツィア!?って思ってしまいますが、中世のイタリア、16-17世紀にかけての地図を見ると、ミラノの東、ゴルゴンツォーラの先にあるベルガモからはもう、ヴェネツィア共和国領でしたから、この道が「ヴェネツィアに通ず」というのもなるほどと思ってしまいます。そして、この柱、イタリア語でもコロンナ・デル・レオーネ(Colonna del leone/ライオンの柱)というのですが、このあたりがどうやら、中世ミラノの東大門、「ポルタ・オリエンターレ」という場所だったようです。 ポルタ・オリエンターレを描いた昔の絵。しっかりと、ライオンの柱が中央にそびえたっていますこの柱が作られたのは1626年。以来変わらぬ表情で、ミラノの東を見守っているライオンさん。実は、ミラノが大好きで、マンゾーニの小説「いいなづけ」の世界を通してミラノの歴史に興味を持った私は、小説に出てくる「東大門」、ポルタ・オリエンターレがいったいドコにあるのか、ずっと調べていたんです主人公のレンツォが、ふるさとレッコの町から、大都会ミラノへと入ったのがこの東大門からでした。確かに、現代のミラノの地図を見ると、ポルタ・ヴェネツィアの先をたどってゆくと、レッコへ続く、と書いてあります。なんだか、小説の中の世界が現実とリンクするのが楽しくて、調べ始めたらいろんなことが知りたくなってしまいました(笑)マンゾーニの「いいなづけ」という小説自体が、実際のミラノの歴史を1世紀ほどずらして、架空の人物を主人公とした大河ドラマ風になっているというのは有名な話なのですが、実際のミラノという町を知った後で読むと、本当に小説の世界がリアルにイメージできるのが楽しくて仕方なくなってしまいます。最近ブログの更新がモタモタしているのも、年末だというのに、そんな調べモノをしているせいというのもあります(笑)次回のイタリア旅行は、またミラノとブリアンツァ地方を中心に、あまり欲張らないでのんびりしてこようと思っているのですが、レッコからベルガモ、モンツァ、そしてミラノと、小説ゆかりの場所をめぐるのも楽しいな、とイロイロ妄想中~。。。。きっとまた、このライオンさんを見上げることになるのだと思います♪