セブン&アイ鈴木会長の著作「売る力」
最近読んだ本の中に、セブン&アイの鈴木敏文会長の「売る力 心をつかむ仕事術」がある。冒頭の「はじめに」で、売る力についてこう説明されていて、目から鱗が落ちた思いだった。> もし、「『売る力』をひと言で表現するとどうなりますか」と聞かれたら、どう答えるか。「売る力」とは、売り手側から見れば、文字通り、モノを売る力です。しかし、裏返すと、お客様に「買ってよかった」「食べてよかった」「来てよかった」……と思ってもらえる力ではないでしょうか。(7ページ) セブンーイレブンで、買ってよかったと思うことは少なくない。 感じた不満を店員に話したとしても受け入れてもらえる、改善につなげてもらえるという安心感がある。 個人経営の小売店が減る中で、こうして安心して買い物ができる店は貴重だと思う。 顧客のひとりとして、セブンーイレブンに対する忠誠心は高い方だと思う。電子マネーの「ナナコ」を入手してから、その傾向が強まった。 安いものが欲しければスーパーに行き、気軽に買い物がしたければセブンに行く。そういう生活が染みついてしまった。 人によっては、セブンではなくてローソンだったりファミマだったりするのだろう。だが、SNSでローソンやファミマの商品が話題になっていても「どうせステマだろ」としか感じなくなっている。セブン中毒なのかもしれない。 セブンでワインは買わないけれど、もうすぐ発売されるガリガリ君のとろりんシュー味は、きっとまとめ買いをすると思う。 ひるがえってワインショップである。 10年前ごろに趣味が高じてワインを飲みはじめた頃に比べると、飲む量が減ったこともあり、リアルでも楽天市場でも購入する本数は減った。それでも月に何本かは購入しているが、いまの購入先のショップはどこも「買ってよかった」「来てよかった」と思うところばかりだ。 珍しいワインのリストをメールマガジンで流し、先着順に受け付けるネットショップからワインを買う機会はかなり少なくなった。たとえていうなら、口をパクパクさせているコイがたくさん泳いでいる池にえさを投げ、群がるコイをみて悦に入っているような店だ。 店主は「悦に入っているわけではない」と反論するかもしれないが、それがベストな売り方だと考えているのであれば、悦に入っているに等しい。コイにやるえさは問屋に卸してもらっているが、問屋と同じ目線で超然としているわけで、セブン-イレブンの接客に慣れた身にはばかばかしく感じる。 ちょっと前、話題になっていたシャトー・ド・ショレのワインを入手しようと考えた。流行ものはレイト・アダプターであるため、ネットで安い売り物はほとんどなかった。そんな中、ある店にはまだ在庫はあった。でも、そこでは買わなかった。少し前にケンカした店だった。おそらく「売る力」に問題があるのだろう。 ユーロ高でワインが売れないという話があるのかどうか、私は知らない。ただ、ある店でワインが売れない場合、それはおそらくユーロ高が本当の理由ではない。【送料無料】売る力 [ 鈴木敏文 ]価格:832円(税込、送料込)