前門の虎、後門の狼　<年子を抱えて>

家族や友達と話していて、肯定しがたい性差別のある社会構造や人間関係、一般慣習を、
周りの人間がなんとも思わずに受け入れているのを見ると、
もしかしたら私は普通じゃないのかもしれないと思うことがある。
別に構わないんだけどね、皆と同じじゃなくても。
悩むのが嫌だから、何も考えないですべてを受け入れるなんてこともできないし。

それに、一見性差別を無批判に受け入れているように見える人たちだって、
ただ諦めているだけかもしれない、どうせ世の中思うようには生きられないんだから、って。
勿論、すべて思い通りにいくはずもないのだが、とりあえずおかしいと思うことは言っておきたい。

たとえば江戸時代、封建制度にがんじがらめになって、
士農工商の身分制度が絶対と信じて人々が生活していた頃、
民主主義の世の中なんて想像すらできなかったはずである。
その頃、武家の娘が町人の男性を好きになった場合を想定してみると、
その恋愛は実を結ぶことができなかったに違いない。
（そもそも、武家の娘が町人と知り合う機会さえないのかもしれないが）
彼女はきっと、自由な恋愛なんてできない世の中だから我慢するしかない、
世の中はこういうものだと最初から諦めて、親の決めた婚礼に従ったのではないだろうか。
それは封建制の世である限り、当然の帰結であっただろう。

しかし、永久に続くかのように見えた封建制度だって、黒船が来たらあっけなく終わってしまった。
もし世の中が変わっていく可能性があるなら、生きやすい方向に変えなければ損だ。
もし世間の相場が「結婚したら夫と子どもの身のまわりの世話をして生きるのが女の正道」
なんていう考え方だったら、そう言われて窮屈な思いをしている女性であればなおさら、
それはおかしいんじゃないですかと口に出して言わなければ損だと思う。

最近、小姐がやたらにピンクの服にこだわるのだが、
たとえば赤ちゃんの肌着にしても、何故女の子はピンクで男の子は青を着せるのだろうか。
小姐がキティちゃんではなくトーマスのグッズを好んだっていいじゃないか。
女子は理系に向いていないというなら、それは生理的にそう決められているからだろうか。
どんな根拠があって、女性は管理職よりも補助的労働が似つかわしいといえるのだろうか。
男女に割り当てられている性役割には、生得的に運命づけられているわけでもないのに
いつのまにか慣習化して、自然であり当然であると思い込まされているものが多いのである。