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2017.07.01
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カテゴリ:現代史

 これは、共産党=スターリン主義者による事実上の死刑宣告である。末期がんで仮釈放され、国内の病院に移送されたノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏への処置である(写真=逮捕前の劉氏と妻の劉霞さん。劉霞さんもずっと自宅軟禁されている)。

◎自らが定めた憲法の侵害数々
 当局によると、肝がんが前身に転移し、手術はもちろん、治療手段がない状態でやっと病院に移送された。
 これは、手の施せないほどがんが進行するまで放置したスターリン主義者の故意の「緩慢な死刑執行」に他ならない。
 そもそも劉暁波氏を獄につないだ国家政権転覆煽動罪そのものが、スターリニスト憲法に違反している。同憲法では、35条で「言論・出版・結社の自由」を認めている。劉氏他300名余がインターネットに発表した「08憲章」は、まさにその憲法に謳う民主主義の実行を求めていたに過ぎない。

◎人権派弁護士たちも逮捕とその後の収監で廃人に
 昨日30日の日経新聞に転載されていたイギリスの「エコノミスト」誌の記事によると、2015年7月に300人近い人権派弁護士がスターリニスト当局に一斉検挙された事件で(15年7月14日付日記:「スターリニスト中国で人権派弁護士など100人の大量拘束とタイに逃れたウイグル族難民を強制送還させるという2つの大規模人権侵害;現代史」を参照)受難した人権派弁護士も、劉氏ほどではないが同じような迫害を受けたという。
 「黒髪で体格がよく健康だった李和平(写真)氏が、痩せた白髪交じりの目の悪い中年男に変わり果てるのに2年かからなかった」と、その受難者の変貌を伝えている。

◎過酷な拷問、不必要な薬剤投与などで
 李氏は、軍事基地の独房に収容され、8週間毎日、負荷がかかる同じ姿勢で立つことを強いられ、頻繁に殴られた。さらに高血圧でもないのに、降圧剤を飲まされ、無気力と筋肉痛に悩まされ、視界がぼやけるまでになった。
 有罪判決だったが、幸いにも執行猶予で5月、やっと釈放された。
 むろん弁護士資格は剥奪された。

◎子どもは教育を受ける機会を奪われ、妻たちは嫌がらせで拘束、セクハラも
 さらに許しがたいのは、家族にも過酷な運命を強いていることだ。
 李氏の7歳の娘は、学齢期にもかかわらず、受け入れてくれる学校がない。子どもの教育を受ける権利に対する耐えがたいほどの侵害だ。
 妻も、嫌がらせでしばしば拘束される。拘束されると、セクハラまがいの扱いを受ける。
 親族も身分証明書やパスポートの更新ができない。海外、特にアメリカに窮状を訴えられることをスターリニストどもは恐れているのだ。
 これが、柔和な微笑で、トランプ大統領や香港訪問で見せる習近平の真の姿である。

◎憲法の条文は先進的だが、明白な侵害のオンパレード
 なお付言しておけば、共産党一党独裁中国の憲法は、先の35条での「言論・出版・結社の自由の保障」の他、第36条で「信教の自由」も謳うが、地下カトリック教会や法輪功への弾圧は同条の明白な侵害であり、新公民運動の許志永氏らへの逮捕・懲役刑執行や人権活動家の妻たちまで拘束・軟禁されるのは、「人身の自由」を定めた第37条と「人格の尊厳」を明記した第38条の違反である。
 スターリニスト中国の法治とは、習近平の定める人治に他ならない。
 このような恐ろしい国が、世界の大国として国際舞台で好き勝手に振る舞っている。日本は、こんな国ととうてい友好など結べないだろう。

昨年の今日の日記:「北朝鮮、中距離弾道ミサイル『ムスダン』失敗、4回連続で信頼性に致命的;衆参同日選なくなる」






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Last updated  2017.07.01 01:40:55



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