学校が夏休みに入る前の平日、始まったばかりの国立科学博物館の特別展「恐竜博2019」を観に行った(写真)。
◎8割が揃ったむかわ竜の全身骨格
目玉のむかわ竜を是非、観たかった。むかわ竜は今さら解説不要だろうが、かつて恐竜貧困国とされた日本で、初めて全身骨格が発掘された恐竜だ。白亜紀末(約7200万年前)に生きていたハドロサウルス科恐竜だ。
その実物骨格化石が、収蔵地の北海道むかわ町の穂別博物館から初めて「出て」くる。見逃すことはできない。
全長8メートル以上の骨格の8割が揃う。入場して少し行ったゾーン3の展示場では、出土した骨が、床に一面に関節するように並べられ(下の写真の上=これは実物)、さらにその上には立体的に組み立てられた骨格模型が設置されている(下の写真の下)。
実際、すごい迫力である。開館直後だったので、観覧者もあまりおらず、じっくりと観察でき、かつ写真も撮れた。
◎大きな手の怪恐竜デイノケイルス
もう1つの目玉が、むかわ竜展示の手前のゾーン2で展示されている1965年にモンゴル、ゴビ砂漠で発掘されたデイノケイルスの前脚である。肩関節から指先までが2.4メートルもあった(写真)。
二足歩行する恐竜は一般的に前脚は小さい。ここからすると本体はかなりの巨体と想像され、したがって「恐ろしい(デイノ)手(ケイルス)」と命名されたのだという。
ところがその後、他の部位も見つかり、前脚だけが巨大な全長11メートル程度の変わった恐竜であることが判明した(写真)。
羽毛をまとっていたらしく、その復元像は、先頃、NHK総合の『恐竜超世界』で放映されたからご覧になった方もいただろう。オルニトミモサウルス類の仲間で、「恐ろしい手」と違って草食性の恐竜だったらしい。
◎鳥類の恐竜起源説の基になったデイノニクス
肉食恐竜デイノニクスの足の実物化石(下の写真の上)とテノントサウルスに襲いかかるデイノニクスの復元標本(下の写真の中央と下)も興味深い。これは入った直後のゾーン1の展示である。
デイノニクスは、1964年にアメリカの古生物学者ジョン・オストロムにより発見された小型恐竜で、オストロムは活発な活動が推測されたことから、肉食恐竜が現生鳥類のような温血動物だったと考え、現在では常識となった「恐竜温血説」を唱えた。そしてこれら獣脚類から鳥が進化したという「鳥類の恐竜起源説」の基になった。
なおテノントサウルスは、この時、デイノニクスの化石群と共に見つかったので、社会性を持ったデイノニクスの集団的狩猟の証拠と考えられた。
また映画『ジュラシック・パーク』で主人公を追い詰める小型肉食恐竜のモデルともなった。
◎恐竜から鳥へ
その他、羽毛恐竜から鳥への進化の過程を示す興味の尽きない展示物で、何よりも観客の少なかったことでじっくりと見学できたことは素晴らしかった。
夏休みに入り、今はたぶん朝早く1番に行っても親子連れで混雑していることであろう。
昨年の今日の日記:「2日間で2つの日本百名山(乗鞍岳、木曽駒ヶ岳)を登る」