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カテゴリ:国際政治
ウクライナのゼレンスキー氏(写真=公式写真)は、2019年4月の大統領選の決選投票で現職の対ロシア強硬派だったポロシェンコ氏を破った当時、西側は喜劇俳優で、政治・外交経験の乏しいゼレンスキー氏の力量を危ぶんだ。 当時から、プーチンのロシアの対ウクライナへの圧力は大きかった。この難局に、喜劇俳優が対処できるのか、と。 ◎亡命選ばず国に留まった勇気が世界とウクライナ国内に共感 しかし、2月24日のロシアによるウクライナ侵略が始まった後、ゼレンスキー大統領は、おそらく誰よりもウクライナ国民を引っ張る指導者として、存分に力量を発揮している。 何よりも、ロシアによる侵略が始まり、48時間以内にキーウ(キエフ)陥落、ゼレンスキー大統領らの逮捕を危ぶんだアメリカなどは、ポーランドへの待避と亡命政権の樹立を進言したが、ゼレンスキー大統領は受け入れなかった。 ゼレンスキー氏が首都キーウに踏み留まり、そこから日本を含む世界各国の議会に、オンラインによってロシアの非を非難し、ロシアの銃火に喘ぐ国民の救済、ウクライナへの支援を訴えたことは、世界各国の指導者、国民を感銘させた。そして国民に対して頻繁にネットを通じて激励するのも、指導者としての信頼を固めた。 実際、孤立したマリウポリのアゾフスタール製鉄所地下に、立てこもるアゾフ大隊すら、食糧も水も無い中、徹底抗戦している(写真=同製鉄所と徹底抗戦を主張するマクシム・ゾリン司令官)。 ◎世界各国首脳がキーウ訪問しゼレンスキー大統領と会談 アメリカはブリンケン国務長官、オースティン国防長官(共に4月24日)、そして30日には大統領、副大統領に次ぐナンバー3のペロシ下院議長がキーウを訪問し(写真)、ゼレンスキー大統領に支援を約束した。それ以前には、イギリスのジョンソン首相もキーウ訪問し、ゼレンスキー大統領に支援を約束した。 もしゼレンスキー氏が、安全な国外にいたら、これほどウクライナ国民と西側世界を鼓舞・激励し、共感を呼ぶこともなかっただろう。 政治経験や外交経験の乏しさは、杞憂だった。 翻って、日本。例えばスターリニスト中国に沖縄や九州の一部が占領され、東京・大阪などに連日ミサイルを撃ち込まれているとした場合、グズ首相はこれだけ抵抗できるだろうか。アメリカの庇護を受け、ハワイなどにさっさと逃げ出すのではないか。 ◎9日に「戦争宣言」? そのゼレンスキー大統領のもと、西側からの武器・装備支援もあり、ウクライナ防衛軍は、今や東部戦線でロシア侵略軍を打ち負かしている。 プーチンは、当初はキーウ占領・傀儡政権樹立を図ったが、まずこれは挫折した。今また東部・南部を占領し、9日に勝利宣言をするつもりだったが、これも挫折しつつある。 多少の誇張はあるかもしれないがゼレンスキー大統領によると、これまでにロシア侵略軍は2万3000人以上の兵士を失ったという。 そして西側の一部では、代わって9日に、戦争宣言のうえ、総動員令を出すのではないか、と懸念している。 おそらくプーチンは、そうでもしない限り、ロシア侵略軍は戦えないと考えているだろう。しかし、そうなると、ロシア市民への負の影響は決定的になる。 プロパガンダ報道で、ロシアが勝っていると信じているロシア国民は、それで厳しい現実を知ることになるだろう。
昨年の今日の日記:「病床不足などウソ! 全国に余る急性期病床が武漢肺炎患者を受け入れない」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202105050000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.05.05 05:25:42
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