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2022.10.20
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カテゴリ:人類学
​ エチオピア国立博物館(NME)の人類化石展示風景(写真)は、実際、僕にはいくら時間があっても見足りないほどの充実ぶりである。​



​◎250万~260万年前のガルヒの発見​
 これまで観ただけでも、以前に観たニューヨーク自然史博物館をも上回る充実である。
 その一角に、またまた凄い化石ホミニンである。
​ アウストラロピテクス・ガルヒ頭蓋である(写真)。



 ガルヒは、アファール低地で1996年からアメリカ人古人類学者のティム・ホワイトやエチオピア人古人類学者ベルハネ・アスフォー、日本人研究者の諏訪元氏などにより発見された。なお諏訪氏は、この発見地の近くの別地点で、1997年にホモ・サピエンス・イダルツを発見している(9月17日付日記:「エチオピア紀行(177):NME=ホモ・サピエンス・イダルツ頭蓋;古人類の測定年代は正しいか、論争の的となったイノシシ化石」を参照)。​
 年代が250万~260万年前と推定されたガルヒは、1999年にその成果が発表された頃、とりあえず「アウストラロピテクス」と分類されたが、一緒に見つかった他の遺物が議論の的になった。

​◎小さな脳、そして石器も製作し、動物解体に使った?​
​​ 1997年11月にガルヒの頭蓋(BOU-VP-12/130)も見つかり(下の写真の上=隣の化石がパラントロプス・エチオピクス)、ここから脳容量が450㏄程度と計測された。その数字だけを見れば、脳は同類のアウストラロピテクス並みだが、すぐそばに石器で割られたと思しき羚羊類の骨(下の写真の下)、さらにはオルドワン石器も見つかり、ガルヒが石器を製作・使用していたと推定された。




​​
 すると、これは初期ホモ属か、後のホモ属につらなるアウストラロピテクスという可能性もある、とされた。

​◎ガルヒはホモ属とは別の枝​
 しかし1999年に別のアメリカ人古人類学たちにより、ガルヒは初期ホモ属とは同じ共有派生形質を持たないことから(つまりアウストラロピテクスの一派として特殊化していたため)、ホモ属とはつながらない、別の枝の人類であることが分かった。
 僕がエチオピアを訪れた前年の2015年に、280万年前の最古のホモ属化石が見つかり、この議論は決着がついた。
 ちなみに古い石器に関して言えば、330万年前の東トゥルカナのロメクウィで原初的な石器が見つかっている。
 当時、東アフリカには、アウストラロピテクス(ガルヒと場合によってはアファレンシス生き残りも)、パラントロプス・エチオピクス(次回で詳述)、さらに早期ホモ属の3ないしは4種のホミニン(ヒト族)がいたのである。
昨年の今日の日記:「蜜でアリを操作するアブラムシ、天敵を攻撃させる薬物を含んだ蜜を出す」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202110200000/​





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Last updated  2022.10.20 06:13:13



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