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2023/06/12(月)05:27

東京株式市場の堅調さ、いつまで、どこまで? 日本株を割安と見ている外国人投資家

金融と投資(128)

 日本株式市場の強さは、いつまで続くのだろうか。伝説の投資家にして慈善家のジョン・テンプルトンの有名な言葉「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」では、今は楽観か幸福感の中にあると思えるのだが――。 ​◎売り方を消沈させる激しい切り返し​ 今に急落する、調整するとほとんどの投資家は考えていたはずだが、「押し目待ちに押し目無し」を地で行く強さである。 先週の火曜日6日に1990年のバブル崩壊以来の高値をつけ(バブル崩壊以来の高値とは、連日のように続いていた)、さすがに7日、8日と大幅反落となったが、週末金曜日9日に623.90円高の3万2265.17と切り返した。 9日は、オプションのSQ(特別清算指数)算出日で、下手をするとこの日を境に、下落局面に入ると懸念されていた。そこをぶじ乗り切った。 7日、8日の調整で一息ついていた売り方は、またがっくりときているに違いない。 今年に入っての株価パフォーマンスは、世界でトップクラスとなっている。 ​◎続く外国人投資家の買い越し​ 好調な株式市場を象徴するのが、日本の株式時価総額トップのトヨタの堅調ぶりだ。長らく1倍割れが続いていたPBR(株価純資産倍率)は、ついに指呼の間に迫った。これを突破すれば、上げに弾みがかかるだろう。 こうまで東京株式市場が好調なのは、信じられないほどの外国人の爆買いがある。先月26日まで、外国人投資家は9週連続で現物株を買い越している。9週連続は6年ぶりで、この間、4兆円強も買い越した。 海外の証券会社は、こぞって日本株の買い推奨をしている。割安の上に、世界の金利高→不況入りの懸念を尻目に、日本企業の今後の業績が唯一、堅調さが見込まれているからだ。連日の高値更新なのに、まだ割安、とはどうしてなのだろう? ​◎ドル建て日経平均株価は2年前よりなお60ドルも安い​ それは、外国人が見るのは、ドル建てでの価格だからだ。ちなみに2022年2月の1ドル=115円程度から10月には150円を超える円安になった。その後、円の値戻しは多少進んだが、今も1ドル=140円近辺だ。 つまりドル建てで見れば、日本の株価はなお安いのである。例えばドル建て日経平均は、先週末で230ドル程度。対して21年2月の過去最高値は、約290ドルだった。まだ60ドルも安いじゃないか、と外国人の目には映る。 ​◎外国人投資家の目を啓かせたバフェット氏の日本株買い​ 日本株式市場を取り巻く環境も、追い風となっている。​ この春、伝説の投資家で、バークシャー・ハサウェイの会長ウォーレン・バフェット氏(写真)が、商社株を買い増した他、他の日本株の買いを示唆した。バフェット氏と言えば、埋もれた割安株発掘の凄腕の名人だ。そのバフェット氏が日本株を買っていることは、他の外国人投資家の目から日本株が割安だと映る。  さらに東証が、万年割安の日本株の象徴であるPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善を要請したことがある。PBRを1倍超にするには、自社株買い・配当増をする必要があり、外国人投資家は日本企業の買いに期待を膨らませている。 ​◎共産党支配のスターリニスト中国を嫌って​ もう1つ、意外な側面として、スターリニスト中国株の代替として外国人投資家が見ていることがある。日本株は、上海株式市場上場株などを含めて広い意味で東アジア株の1つと見られている。ところがスターリニスト中国は、武漢肺炎以後の経済回復がはかばかしくない。人口減に転じたうえ、最近の経済指標を見ると、長期的には1990年代の日本のバブル崩壊以後の経済低迷を予感させる。 さらに習近平の強権支配で、アリババなどIT株などが抑圧され、しょせんは共産党は株式市場を敵視していると見られるようになっている。​​ 実際、上海株式市場のこの1年の低迷ぶりは(チャート図)、1990年代の日経平均株価を見るようだ。日経平均のこの1年のチャート図と比べれば、両者のパフォーマンスの違いは明瞭だ。 ​​ 外国人投資家はスターリニスト中国に見切りをつけ、その代わりに日本株を買っているのである。​ 昨年の今日の日記:「ウクライナ侵略戦争、ゲームチェンジか? 米英がウクライナに供与の高機能ロケット砲システム」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202206120000/​

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