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カテゴリ:生物学
カタバミの黄色い花が咲いている。カタバミは、春と秋に花をつける(写真=緑の葉のカタバミ)。 ◎花は可憐だが、厄介な雑草 一見しただけでは花は可憐だが、これが実は芝生には厄介者だ。根を延ばしてそこから栄養繁殖するうえ、花を付けた後に結実し、それが弾けて小さな種子を周囲にまき散らし、有性生殖も行う。種子は、周囲1メートル以上にばらまかれるので、放っておくと、数年内に芝生はカタバミだらけになり、やがて芝生は放逐される。 いったん定着されると、だから根絶はかなり困難だ。 そのカタバミ、漠然と赤い葉ばかりと思っていたが、実は本来は緑だったらしい。 ◎50℃以上の高温に耐えて育つ赤葉のカタバミ それが、都市の高温化で、高温耐性の赤葉タイプに進化をしていたのだという。深野祐也・千葉大准教授ら共同研究グルーブが突き止め、成果を『Science Advances』23年10月20日付けで電子出版した。 研究グループは、暑い日なたでは50℃以上になる都市のコンクリート歩道の隙間などに生えるカタバミが、農村部などの緑葉と異なり、赤葉タイプであることに気がつき、調査した(写真)。 すると緑葉タイプと赤葉タイプは、同一種内の遺伝子の個体変異の差であることが分かった。落葉樹が秋になると紅葉となるのと異なり、遺伝的に赤葉タイプは葉の色素が赤いものになるように決まっているという。 ◎世界の都市圏でも赤葉タイプが主流に 都市のコンクリート歩道のような強い高温ストレスにさらされると、葉の赤い色素は過剰な光線の一部を吸収したり反射したりしていた。緑葉の緑の色素は、この能力が弱かった。 つまり赤葉タイプは、都市ではそれだけ生き延びやすい。緑葉タイプは徐々に赤葉タイプに駆逐されたらしいという。 東京の都市圏では、葉の色素遺伝子が緑から赤へという変化が起きていて、これは世界の都市圏でも同じ傾向だという。 カタバミの強靱さ、手強さをあらためて思い知らされる研究成果である。 昨年の今日の日記:「100万年前を越える最古のDNAを探して(後編):マンモス、「クレストフカ」臼歯は165万年前!」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202210240000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.10.24 05:22:48
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