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カテゴリ:農業
まず今日は言葉の定義から。
有機肥料と呼ばれる堆肥とは、「わら、もみがら、樹皮、動物の排泄物その他動植物の有機物質をたい積又は攪拌し、腐熟させたものと定義づけられています。 しかし、一般的には家畜糞尿等が含まれていない物を堆肥、含まれている物をきゅう肥として分けて呼ばれているようです。 そのため、両方を同時に指す時は、「堆きゅう肥」と呼ぶようです。 つまり、「有機肥料=堆きゅう肥」ということですね。 農業・食べ物に関することは、言葉の定義を知らないと、とんでもない勘違いをすることがあります。 有機農産物も、「無農薬でないから、、、」買わない人がいたので、無農薬表示が禁止され、特別栽培と表示されるようになりました。 もちろん、有機農産物は、無農薬のものもあれば、使用許可されている農薬をしようしているものもあります。 誤解を防ぐためにも、こだわる必要のある人のためにも、無農薬・無施肥の「自然農法産」というカテゴリーができると嬉しいですよね。 ところで、2回にわたって、化学肥料ときゅう肥の危険性についてお話してきました。 そのため、有機肥料は危険だ!と思われた方もいると思います。 しかし、有機農産物の「有機肥料」には、堆肥だけ用いたもの、堆肥さえ使わない自然のサイクルだけを利用した無施肥のものも含まれています。 また、きゅう肥も、十分に発酵させれば、適切な量だけ使用した場合には、硝酸や水質汚染の問題は十分軽減されます。 そして、以下に述べる話も、牛の餌に十分気をつけて、しっかり発酵させたきゅう肥であれば、問題がないということをまず断っておきます。 《きゅう肥の抱える1つめの問題点・・・薬害》 きゅう肥に使われる糞尿の「主」は何を食べていたのでしょうか? 化学肥料と強力な農薬を使って育てられた、遺伝子組み換えをされた輸入飼料。 もちろん、輸入のためにポストハーベストが使われています。 生物の自然の摂理を無視した、成長促進剤。 飼育添加物。 不衛生・ストレスフルな環境で飼育するため、抗生物質も不可欠です。 さらに、その不衛生なきゅう舎を消毒するための強力な殺菌剤。。。 有毒な化学物質は、生物の体内に入っても、代謝されるか、排出されます。 その有害な化学物質が沢山入ったきゅう肥を使用して農産物を作ると、、、 植物は自分にとって有害な物質は吸収しないといわれています。 しかし、植物にとって有害でなくても、大量に吸収されていれば人体に有害なものもあります。 以前お話した、アンモニア態窒素がいい例です。 きゅう肥に含まれる塩分による塩害もあるそうです。 塩害が起こると、その土地で作物を作ることは困難になります。 *化学肥料の大量使用でも、塩害は起こります。 本来、牛は、「草食」動物で、今のような濃厚飼料(穀物飼料)は食べません。 (豚はいつから雑食なのでしょう?ご存知の方がいたら教えてください。) 牛にとって自然な餌を食べ、自然な環境でのびのびと育てられていれば、抗生物質もいりません。 成長促進剤はホルモンに作用するので、きゅう肥の中に含まれているとしたら、、、 確かに野菜はよく育ちそうです。。。 人間への影響は? 何もわかっていないのです、、、調べられていない。 昔の日本で、きゅう肥を当然のように使っていたのは、1家に1頭、農耕用の牛や馬がいたからです。 もちろん、草を与えられて十分に運動して、家族のように大切に育てられていました。 1軒の農家で育てる全ての作物をその1頭のきゅう肥と裏山の落ち葉でまかなう。。。 それなら、十分バランスがとれて、害にはならなかったのです。 今問題になっているのは、日本の国土には存在しえない数の肉用・乳用の家畜の糞尿の後始末。 (牛の場合・・・ヨーロッパの基準:1haに1頭、日本の現状:0.5坪に1頭) 浄化槽を設置し、環境に安全な形で完全に糞尿処理をしている酪農家はおよそ8%、という数字を見つけました。 あとの糞尿は川や池へ垂れ流したり、土壌へ浸透させたり、山の中へ不法投棄されたり。。。 安全な糞尿であれば、きゅう肥として使用することもやぶさかではないのに。。。 まずは、本当にこれだけの家畜が日本に必要なのか? そのことから考えないといけないようです。 《きゅう肥の抱える2つめの問題点・・・寄生虫》 マクロビオティックで、野菜を生で食べないのは、創始者の時代には、寄生虫がまだ大きな問題であったからかもしれません。 GHQは日本でし尿を畑にまいているのを見て、化学肥料と農薬を持ち込みました。 本当は人間の寄生虫よりも、他の動物の寄生虫の方が人間の体に入ってきたら怖いのですが。。。 寄生虫の問題は、十分に発酵させることで解決できます。 (きゅう肥に含まれる雑草の種子の問題も、十分に発酵することで解決します。) し尿や糞尿をそのまま畑に撒くのは、今までのお話から、非常に危険であることが分かると思います。 しかし、いまだ、不完全熟成きゅう肥を用いる農家があることも事実です。 信頼できる有機農家から購入したのでないなら、やはり、生食は不安があるかもしれません。 しつこく水洗いをすると、ビタミンCが流出してしまいます。 塩素入りの水道水であらうと、ビタミンCは破壊されてしまいます。。。 酵素がしなない程度に、さっと熱湯にくぐらすしかないのでしょうか? やはり自然農法の野菜が安心だ、、、という結論になりそうですが、どのような農法であっても、土中の微生物は付着してしまいます。 洗いすぎて酵母も流さないように。。。 《きゅう肥の抱える3つめの問題点・・・ガス害・根傷み》 これは、有機質肥料すべてに共通するのですが、発酵の過程でガスが出てしまいます。 そのため、ハウス栽培に未完熟の肥料を使用すると、ガス害が起きてしまいます。 また、有機物によっては、発酵が不十分なままのものを土に入れると、ガス害により生育が阻害されるだけでなく、土壌中の酸欠をおこし、根傷みがおこります。 根傷みがおこると、土壌中に含まれる肥料分を吸収できなくなります。 また、投入された有機物が病原菌が増殖することもありますが、これらの作物に対する問題は、完熟きゅう肥を施肥することで防ぐことができます。 完熟させれば、ほとんどの問題が解決すると言っても、ここまで読んだだけでは、きゅう肥、さらには有機肥料より化学肥料の方が良いのでは?と思う方もいるかもしれません。 明日は、化学肥料のもっとも大きな問題点についてのお話をします。 このことに気がついていないと、「日本」は大変なことになっていまいます。。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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