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カテゴリ:美術
図書室で貴重な本を見つけた。高島野十郎(たかしま やじゅうろう)画集~作品と遺稿~である。この夏佐倉の川村美術館で初めて彼の作品「リンゴを手にした自画像」を見て衝撃を受けたのだったが、その後彼に関する文献や資料を見つけられないままに登山に明け暮れていた。ずっと心の奥で気になっていた画家だった。
高島野十郎画集 りんごを手にした自画像(本を私が写したものです) 棚ぼたのように貴重な画集を手にした。菊の花、萩、友禅菊、カンナとコスモス、けしなど花を題材とした作品、秋の森、八ヶ岳への道など自然の風景、空の塔 奈良薬師寺、雨 法隆寺などどの作品も緻密で写実に徹していて美しい。
菊の花 絡子をつけたる自画像 絵の対象が揺るぎない姿で描かれている。単なる写実を超えて対象物の本質を表現しているような気がする。とにかくすばらしく心の奥に迫るものがある。 後半に「傷を負った自画像」「絡子をつけたる自画像」「りんごを手にした自画像」「たばこを手にした自画像」の自画像四部作が出てくる。同じ自画像なのだがそれぞれに内面が異なっているように見える。鋭い目は変わらない。 私は絵を見ているのだが、逆にその絵の中の目でじっと自分の何かを見抜かれているような気がしてくる。 作品とともに彼が書き残した「ノート」が全文載せられている。絵画に対する自分の拠るべき立場や短歌など様々なものが簡潔にいさぎよい文で表現されている。恐るべき文学的感性の持ち主である。自画像の目のようにじっと真実を凝視しているような文や短歌である。画家にならなければ文学者になったのではないか。 全宇宙を一握する、是写実 全宇宙を一口に飲む、是写実 誰がためにここには咲くぞ山櫻、また音もなく散りはてし行く、 誰がために咲くや山奥山櫻、 また音もなく消え散りて行く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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