最先端科学と空想科学
私がSF好きで設定厨なのは単純にロボットがカッコ良くて好きだから、だけでなく先端科学系の読み物とかが結構好きだからというのもあると思います。まぁ頭良くないのでちゃんと理解出来てませんけどね!そして近未来に実現しそうな夢のある科学に、フィクションのブレイクスルー要素を加えることでエンタメ化しようという動機から作品は生まれます。『セヴン』と『マーメイドブルー』がそんな感じ。セヴンはそれらを超常現象に、マーメイドブルーは御伽噺にこじつけるとこから設定やストーリーを構築してます。『R-TYPE/AA』は本家の設定にマーメイドブルーが混ざったような感じでしたけど。まぁマーメイドブルーも元はもっと小規模な作品で、複数の作品案を集約させたんですけどね。キッカケは前にも書いた気がするので、今回は『未来革命のマーメイドブルー』の設定を支えるテクノロジーについて。モチーフは『浦島太郎と人魚姫を科学したロボット作品』なんですが、元々浦島太郎ってほんとにただの御伽噺かよと疑いたくなるお話だと思いませんか?――そんな風に思ったのはセヴンで超常現象ネタを漁ってたからなんですけど。今でこそ『ウラシマ効果』という科学用語は有名ですが、まるで「ウラシマ効果を説明するために作られたお話」なのではないか。「そんなバカな」と思うけど、創作においてはそんな発想が大事だと思うんですよ。時間を測る物差しは光であり、光が遅れたら時間も遅れる。地球に居る人と光速に近い宇宙旅行してた人ではそれぞれの体感時間は同じでも、地球に居る人から見たら宇宙旅行者の生活はゆっくりで、宇宙旅行者から見たら地球の暮らしは速い。両者が会合した時、明らかに経過した時間が異なる、これが光のドップラー効果、特殊相対性理論におけるウラシマ効果ですね。海底にある竜宮城は高圧環境下にあり、地上とは重力が異なります。一般相対性理論では重力によって光が歪めば時間も歪んで遅くなります。ならば時間の流れも異なるかもしれない、というオチが付いたのが浦島太郎なんですよ。昔の人は楽しい時はあっという間に過ぎ去るということを言いたかっただけかもしれませんが、オカルト好きな私は未来人や宇宙人が関わって作られた物語説を推すとしましょう。浦島太郎は本当は宇宙に行ってたのもかもしれませんwガメラのように空飛ぶ円盤と亀は似てますし。人魚もEVAでお馴染みの液体呼吸技術(すでに動物実験では成功済み)、さらに最近話題のゲノム編集も組み合わせれば可能。潜水病で頭が丸っこくなり(ムーンフェイス化)手足が細くなるグレイのような現象も、ロリ化にこじつけてしまえっていう発想で、深海に住む未来人設定のキッカケになりました。実際は潜水による設定ではなく、別の科学考証と空想科学か絡んでくるんですけどね。まぁオチに関わるネタバレ要素なので書きませんが。宇宙を舞台にするとガンダムもどきになりそうなので避けたかったし、海は身近なのに未知な部分が多く夢のあるフロンティアなので個性を出しやすかったというのもあります。宇宙エレベーターならぬ深海エレベーターとか聞くとちょっと新鮮味があってワクワクしません?あと海が舞台ならお色気要素も出しやすいw大まかな世界観設定はこのようにして生まれました。さて、これだけじゃあ人型ロボットが出てくる意味ないですよね?ここも上手くこじつけるために浦島太郎と人魚姫設定を絡ませてます。そもそもリアルロボット系なので、ロボットが人型をしている理由に拘りたいところ。よく悪路をものともしない機動性を説く作品が多いですが、だったら多脚型の方がいいし、レスキューや工作用ならいいですが戦闘もするなら、車両に比べて面積が大きくなる分ノロマなのは的にしかなりません。そこでまず目指したのはスピード。参考にしたのはスケート選手です。ローラーダッシュではなく、この作品独自の走行技術で滑走するという発想。そしてどんな場所でも滑走するために、地表との摩擦をゼロにしつつ壁や天井も走れ、そのために多関節構造と人体トレースを活かした重心制御が必要、となれば人型である理由に近付けます。さらにジャンプが出来て、関節を複雑に動かしてあらゆる角度から攻撃も可能になります。この運動性能を実現するためには、パワフルで瞬発性の高い次世代のアクチュエーター(人工筋肉)が必要でしょう。ロボット工学でこの分野は日々研究され進んでいますが、より高いパフォーマンスを実現するためにブレイクスルーとなるフィクション要素をここに足しています。この材料が深海資源となると、この世界の経済や産業を構築するのにも役立ちます。もちろんこれだけでは足らず、ウラシマ効果を利用したトンデモ技術も存在するのですがそれは秘密。ここで男のロマンの近接武器が絡むのですが、我ながら上手いことこじつけたなぁと思ってます。ただ万能兵器は当然存在しないので、明確な目的のために特化した仕様となっています。この世界では海洋開発が中心になっており、巨大洋上施設がいくつも存在します。国同士の戦争は時代遅れとなり、テロとの戦いにシフトしつつあるのは現在と同じで、そのような施設を狙ったいわゆる海賊行為がバトル描写の中心になります。そのために必要なのが潜水強襲揚陸能力。一人乗り兵器でそれを実現しているのがメインメカニックであるMF(マーフォーク)です。語源は半魚人ですが、潜水時は魚(潜水艦)、海面では両生類(ガウォーク)、地上では人型となるコンセプト。巨大洋上施設の存在は資源を確保するという意味では需要ですが、それだけではまだ存在価値が低く、もっと切羽詰まった理由がないと、人型兵器まで使って襲う理由が弱くなります。そもそも過去と現在を描く作品なのに、過去がすでに現代より少し先の近未来になってる理由がここにあります。漫画でよくある話ですが、現代に大きな変化が起きて変貌した世界が過去で、さらにそのまま突き進んだ結果の世界が未来です。近い将来に人型兵器が必要となる世界ならどんな変革が必要か。そこで考えたのが、死の海と海面上昇設定です。現代と大きく異なるのは海の生物が殆ど死滅し、地上が狭くなって人類が生活圏を脅かされているということ。そこに起死回生のパラダイムシフトが起こったというわけです。もちろんただの空想ではなく、SFらしく先端科学考証をこじつけてハッタリかましてます。カーボンナノテクノロジーとかDNAドライブ、バイオハック、ソリタリーウェーブ、ダークエネルギーetc……。こんな感じで現在では理論上でしかない技術を実用化させ、次々空想科学していった結果生まれたのが『未来革命のマーメイドブルー』という作品です。タイトルに込められた意味はこれらの内容を暗示しており、中々秀逸なネーミングだと自己満足してます。未来とは何を指すのか、革命とは具体的にどうすることを指すのか。それらが気になるような作品作りを意識しています。