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元ロンドン新(米)所長→現ハノイ所長日記

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2011.05.09
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カテゴリ:英国から見た日本

今日、中部電力が、浜岡原子力発電所を全面停止することを決定した。きっかけとなったのは、6日に行われた政府による要請であり、停止要請の理由は、「今後30年以内にマグニチュード8クラスの東海地震が発生する可能性が87%」という予測である。

この要請には、法的根拠がなく、中部電力は、あくまでも自主判断で、停止するかどうかを判断しなければならないという苦しい立場におかれた。私は、原子力発電自体は、時間をかけて収束させていくべきだと考えているし、浜岡原発が停止するという結論にも賛成するが、今回の一連の動きには、色々と問題もあるように思う。

中部電力の経営陣にとっては、苦渋の決断だったと思う。何故なら、中部電力という会社は、形式的に言えば、国の所有物でも国民の所有物でもなく、株主の所有物である。株主は、配当の受取や株価の上昇を期待して、会社に投資をし、そのために働いてくれる経営者に経営を委任している。だから、経営者は、この株主の期待に応えるように行動する義務があり、この義務に違反して会社に損害を与えるようなことをすれば、株主代表訴訟等で多額の賠償責任を負うこともある。

今回の浜岡原発全面停止の意思決定は、これにより赤字決算となることが予想されている損失発生必至の意思決定である。既に株価は大幅に下落しているし、赤字となれば、配当も払えなくなる可能性が大きい。これが、法令改正や政府の命令によるものであれば、意思決定は簡単だが、あくまでも、自主判断であるから、判断の是非に関する責任は、政府ではなく経営陣にある。

ここで、興味深いのが、「では、中部電力の経営陣は、どういう理屈で全面停止の意思決定をしたのか」ということだ。真相は知りようもないが、赤字になり大幅な損失を発生させても合理的だといことを定量的に(数字で)証明するためには、これまで安全神話に乗っかってやってきた経営陣自らが「原発は止めないと危険であり、事故発生確率×事故が発生したときの被害損失は、今回の原発停止による損失を上回る」ということを認めなければ、合理的な判断だと言えなくなるはずだ。だから、中部電力の経営陣は、こういう重大な“改宗”を行ったことになる。もしかすると、付帯的に、政府の要請に逆らったときのマイナスの影響のようなものも、改宗の判断に加味されていたかもしれないが、それはそれで恐ろしい世の中だ。

今回の要請に関して、政治主導が旗印の民主党政権としては、殊更に“政治判断”であることを強調したかったのだろうが、政権を預かっている以上は、基本的に政府は一体でなければおかしい。経済産業省の指示を聞いて、求められる対応をしていたら、首相が違うことを言い出して、投資が無駄になったというようなものがあれば、その負担は誰が持つべきなのか。少なくとも、福島原発事故以降に経済産業省が各電力会社に指示した緊急安全対策に則って、追加投資を行ったコストは、返してもらわないと割に合わないのではないだろうか。いや、政府は、これも自主判断でやったことだというのだろうか。

普通に考えれば、福島原発事故を検証してルール作り(※できれば国際的な)を進め、それに基づいて、義務的な変更を求めるべきであったのではないだろうか。まあ、中部電力が政府に損害賠償請求をすることはないだろうが、その代りとして、今後必要な規制緩和等を進めるに当たって、今回の件が“電力会社への貸し”になったりしないか、よく見ておく必要はあると思う。

まあ、現政権だけに責任があるものでもないし、個人攻撃の意図もないが、安全神話に乗っかって、民間企業が原子力発電を推進してきたことは、相当に無理のあるやり方であったことは間違いない。株主は、今後、想定外と呼べなくなった“過酷事故リスク”は負いようがないし、政権による“唐突要請リスク”も計算できないから、恐ろしくて投資なんてできまい。そこまで念頭い置いているならよいが・・・。

お読み頂き有難うございます。ちょきスマイルダブルハート
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Last updated  2011.05.10 03:45:16
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