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2010.12.16
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カテゴリ:好き好き!映画

昨日はレディースデイ。
冬休みも間近なので、連ちゃんになったけど
エイヤっで観てきました。
ノルウェイの森   c-book0185
Norwegian Wood
(2010年「ノルウェイの森」フィルムパートナーズ)
監督・脚本:トラン・アン・ユン
原作:村上春樹

あらすじ
親友・キズキ(高良健吾)を自殺で失ったワタナべ(松山ケンイチ)は、
東京で大学生活を送り始める。ある日、ワタナベは偶然にキズキの恋人だった
直子(菊池凛子)と出会い、毎週直子と東京の街を散歩するようになる。
しかし、直子の20歳の誕生日、精神的に不安定になった直子と夜を共にし以降、
ワタナベは直子と連絡がとれなくなってしまう。
さらに喪失感が深まり心を病んだ直子は、京都の療養施設に入所していたのだ。
直子に会いたくても会えない状況の中で、ワタナベは大学で出会った
不思議な魅力を持つ女の子・緑(水原希子)にも惹かれていく・・・


・・・・いやもう、細部は原作読みましょう、原作をっ
!!
ってくらい、くどくどと説明がましい描写は一切なく、
本当に映像の美しさをただただ追っていた感じです。
特に冒頭部分は、高校時代のワタナベ、キズキ、直子が出てくるんだけど
ほとんど台詞も説明もなく、淡々と当時の様子が描き出されています。

時代が、私が生まれて少したった頃、    c-book0189
1960年代後半から70年代にかけてのことで、
ワタナベの通う大学は、学生運動真っ只中。
教授役で糸井重里さんが出てくるけど、学生に言われて授業を終わってしまう。
その頃の日本の様子は、当然私には記憶はありませんが、
若い世代は何かに向かって怒り、エネルギーを傾け、
そこに入りきれない一歩さめた目の学生は、タバコに女に音楽、本、、、、
その時代背景が映像となって表現されると、とても新鮮でした。
ワタナベの先輩永沢(玉山鉄二)は、ワタナベをよく"遊び"に連れて行くんだけど
イメージ結構合ってたな・・・

パンフレットは、懐かしいLP仕様。 c-book0186
逆サイドは  c-book0187 こんな感じです。
原作の村上春樹作品には、クラシックやジャズ、当時のロックとか
音楽要素が不可欠ですが、それはLPで聴きたいものばかりですね・・・
劇中ワタナベのバイトするレコードショップ(店長は細野晴臣なのだっうっしっし)や
ハタチの誕生日にワタナベが直子に渡したプレゼントもLPと、
レコードがとても印象的な小物です。

この小説は、私が読んだ村上作品の2つ目とか3つ目くらいなんですが
長編小説でありながら詩的な情緒にあふれていて、
生と死と性と愛と、、、、と、普遍的でありながらもはっきりした形の無いものを
淡々と綴っているので、とても・・・・つかみどころのない印象があります。

それが映像に、とてもよく出ていたと感じました。
だから、退屈と感じるヒトもいるかもしれませんね。
四季の美しい風景と、ささやくような話し方、c-book0190

感情を抑えた登場人物、     c-book0191
激しいのになにか悲しげな性描写・・・

表現も言葉も、ずいぶんおさえて、見ている側にいろいろ考える余地があり
2時間以上あるんですが、私には長く感じられませんでした。

村上作品には、男女の性描写が結構あります。
なぜそこで、そのふたりが???と疑問に思うこともあります。
この作品でも、直子の療養先で同居しているレイコ(霧島れいか)が
直子の死後にワタナベを訪ねてきて、旭川に行くことを告げますが
その前に一夜を共にしてくれ、と頼むんですな。
レイコに関してはほとんど詳しいことは語られていません。
まあ、原作にはヘビーな背景があって、直子に負けず劣らず複雑なんですが
それまで映像化してたら2時間じゃすまないしね雫
本編はとにかく、ワタナベと直子、そして緑を軸に進むので
余計な描写は本当にいらないんですね~
他にもたくさん原作に沿った登場人物が、ちょっとづつ出てきます。

原作を最後に読んだのは数年前で、しばらく読んでなかったんだけど
原作に忠実に、美しく作るぞ、
というトライ監督の意欲というか、決意というか、
渾身の作である、というのをとても感じました。
そしてキャストの気合も感じました。
菊池凛子は、本当に高校生にも見えるし、はかなく不安定で
消えてしまいそうな直子にイメージがぴったりだったと思うし、
直子を失っての松山ケンイチの慟哭も胸に迫るものがあった。
しかも、そのシーンは割と長い時間割かれていて、
非常に丁寧に描かれていました。

そしてラストですね、直子は亡くなりc-book0188
レイコも旅立ち、やっと少し自分が整理できつつあるワタナベが
しばらく距離を置いていた緑に連絡を取るシーン。

緑に、いまどこにいるの?
と聞かれて、自分のアパートのエントランスにいるワタナベが
いま・・・どこにいるんだろう?
っていうところ。
しばらく読んでなかったのに、
急に原作の文章がわーーーっと頭にあふれてきて
そうだ、こんなラストだった・・・と一気に思い出し、
そしてそのラストを曲げることなく表現しきったこの作品にとても感心しました。

 c-book0192 直子との写真には
深く愛すること。
と書かれていましたが、
緑との写真には、
強く生きること。
という台詞があてられています。


その後緑とどうなったのかは語られていませんが、、、、

登場人物の死が身近にある村上作品、
その中でも一番世界中に読まれている作品ですから
作る側にはすごいプレッシャーがあったと思いますが
私は観て面白かったですオーケー



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でも、どんな作品でもそうですが、
絶対に好みってのがあるので、原作が好きだから見たくないっ
ってヒトは無理に見ることは無いと思うし、
でも村上作品初の映像化を心にとどめたい、という方は
ぜひぜひ美しい映像美とともに、詩的な作品として楽しんでほしい、
なんて思います。 

そして、もちろんトライ監督の映画が好きなかたも是非っ!!






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Last updated  2010.12.16 13:35:43
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