7パーセントを電話代に
バングラデシュでは収入の7%を電話代に費やす人々がいるという(そうして、そのことに驚くという論調の)記述が、目にとまった[注1]。日本でも、そうした人々はいるだろうと思えたから、筆者は何を驚いているのだろうと不思議に感じたが、日本とは事情が違っていた。バングラデシュの非都市部での人々の平均年収が200ドルほど。月収にすると、たかだか約1700円。このうちの7%を電話代に、という話だった(残りが、おそらく「食」を中心とする、生存に必須な費用ということなのだろう)。そうした人々にとっては、たとえば家やクルマを買うといったことは選択肢としてあり得ないために、手に届く範囲での贅沢として電話を利用するということらしい。[注1] C. K. Prahalad and Allen Hammond, “Serving the World’s Poor, Profitably”. [“Harvard Business Review on Emerging Markets”, 2008, pp.45-69.]