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カテゴリ:トルコと日本と世界の出来事
【6月1日・木曜日】 5月18日から27日までの10日間、南のシリアと国境を接するトルコの南東部シュルナク県の山岳地、ウルデレ郡のカト山一帯で行われていたトルコ国軍のテロ組織掃討作戦のひとつ、現地の山の名を取ったKATO Oprasyonuは、高い実績を上げて、成功裏に終了した。 なにしろ、山岳のあちこちで発見された22の洞窟から、22丁のカラシニコフ銃、1基の破壊力強大な重砲、その他散弾銃、拳銃など膨大な量の武器、爆薬、銃弾、大人数のテロリスト達が長い籠城に耐えうる食糧、なども押収、一帯のテロリストを根絶したのだった。 国務大臣スュレイマン・ソユル氏は28日この地を激励と視察に訪れ、現地でこの掃討作戦の総司令官である、陸軍少将アイドアン・アイドゥン氏が出迎えて、視察に同行し案内役を務めたばかりだった。 左端:アイドゥン少将が、ソユル国務相の案内役を務めています。 事故の日、5月31日にもテロ対策の基地となるシェノヴァ村で断食明けの食事イフタルを済ませた少将以下13名は、8時55分頃ヘリに乗り、シュルナクのジャンダルマ第23師団に戻るためにほどなく離陸したが、やがて消息が途絶えた。 ところが、この村で大きな爆発音を聴いた村人があり、音のした方を見ると煙が上がり、仲間とその方向に走って行くと、ヘリコプターらしき物体が、まだ爆発を繰り返し燃えている最中なのが見えたのだそうだ。村人達を大ぜい集め、山の下の方に降りて行き、事故の現場に全員で向かったという。 海抜2900mのカト山は起伏の激しい山岳と深い谷が入り組んだ難所である。山の峰々をまたぐ高圧送電線があり、ヘリコプターが墜落して燃えている場所はそこから200mくらい離れた、ヘズィル・チャイ(渓流)の向こう岸の森だと言う。目撃者のみんながヘリのそばまで行き、必死に消火、遺体の運び出しなどの作業をしているうちに、連絡を入れた第23師団から捜索隊のヘリが到着した。 墜落現場(Hurriyet新聞から)の惨状、思わず手を合わせてしまいました。 離陸後のヘリコプターは、山の峰々をまたいで続く高圧送電線に機体の一部が接触したのか、鉄塔のそばで送電線が2本切れて地面にまで垂れているのが発見され、そこから谷をまたぎ、その下の離れた渓流の向こう岸に黒焦げの機体が散乱している、と言う変わり果てた姿になっていた。 昨晩3分ほど飛んだところで、高圧送電線に機体の一部が触れて送電線2本が切れ、ヘリコプターはコントロールを失って地表に激突、大爆発を起こし一瞬にして全員が帰らぬ人になってしまった、と言うのが真相だった。 事故後の調査でテロリストの関与はなかったものと断定されたが、このヘリコプターは古いタイプで、Engel tanima systemi(障害物が近くにあることを察知する機能)が付いていなかったため、操縦かんを握っていたパイロットも経験の長いベテランだったものの、送電線に触れて一瞬にして13名の殉職者が出てしまったのだった。 6月1日のシュルナクの朝は悲劇の中で明け、墜落現場の様子が明らかになるにつれて、トルコ全土に衝撃が走った。13名の殉職者はコマンドではないので、テロリストとの撃ち合いで亡くなったのではないが、全員が役付きの士官・下士官達であり、テロ掃討作戦の最も優秀な司令官とその部下達ばかりだった。 アイドゥン少将を頭に、大佐が2人、トルコで初のジャンダルマ(国家警察)女性司令官となったソンギュル・ヤクット中佐ともう1人中佐、その他大尉2名、中尉1名、上級曹長と軍曹各2名、パイロットも曹長の13名、KATO Operasyonuを大成功させた直後に、掃討作戦の中枢だった人々が、一挙に犠牲者となってしまったのだった。軍にとってもトルコ共和国にとっても大損失である。 本日は朝9時からシュルナクの軍司令部で7名のシェヒット(殉職者、戦没者)の慰霊式典が行われ、そのあとすぐに尊い命を国に捧げてしまった人々のなきがらは、赤い国旗に包まれ、それぞれの郷里に向けて空路、あるいは陸路を送られてゆく。 また、アンカラで医療的措置を施された6体のなきがらは夕方までに、それぞれの郷里に送られた。マラティヤで一柱のシェヒットが、そしてアンカラでは、夕方5時から司令官アイドゥン少将の葬儀が行われ、エルドアン大統領を始め、ビナリ・ユルドゥルム首相、イスマイル・カフラマン国会議長、スュレイマン・ソユル国務相、フルシ・アカル参謀総長、閣僚、国会議員、特にCHPと、MHPの両野党党首も参列した。 そして、ジェナーゼ・ナマズ(葬儀の祈り)の導師は、宗教庁長官(大臣と同格)のメフメット・ギョルメズ師が務めた。大きなジャーミイの境内が狭く感じられるほど、アンカラ市民がぎっしり詰めかけて祈りを捧げ、この、詩人で気さくな人柄の少将のとわの旅立ちのために祈った。なきがらは最高の英雄として砲台車に乗せられ、軍用車にけん引されてアンカラ市内の軍人墓地に向かったのだそうだ。 また、明日の朝もアンカラとイスタンブールで最後の2つの葬儀があると言う。 アイドアン・アイドゥン少将。詩人でもあり、テロ掃討作戦の専門家 女性初のジャンダルマ・コムタン(軍警察司令官)としてトルコで有名な軍人 アイドゥン少将の葬儀、エルドアン大統領と、アカル参謀本部長の姿も見えます。 このところ、またまた世界の各地で、目を覆いたくなるようなテロが起きている。命がけでテロリストと戦う軍人、ポリス、はたまた市民、この戦士達を、神様どうぞお守りください。 Allah rahmet eylesin, Mekani cennet olsun. Nur icinde yatsin. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年06月03日 12時49分33秒
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