Q32. セクハラの判断基準
派遣労働者と正社員・パートは、どこが違うのでしょうか。また、偽装請負や二重派遣、専ら派遣などはよくないことだと聞きましたが、どういうことでしょうか。 A.職場には、派遣労働者以外にも、正社員、パート労働者、アルバイトなど、様々な雇用形態で働く人がいますが、派遣労働の特徴は、労働者が派遣会社(派遣元)と雇用契約を結んでいることにあります。職場のある会社(派遣先)と直接の雇用関係はありません。これは、請負の場合に、労働者が請負会社と雇用契約を結んでいて、職場のある会社(注文主)とは直接の雇用関係がないことと類似しています。他方、正社員、パート労働者、アルバイト等の労働者は、職場がある会社と雇用契約を結んでいます。あなたの勤務時間や給料、職務の内容などは、派遣会社(派遣元)との契約で決まっています。社会保険、雇用保険、年休、育休などについても派遣会社との間で決めます。とはいえ、あなたは、正社員やパート労働者・アルバイトの人と同じように、派遣先の指揮命令の下で働いていますので、職場での安全衛生や健康管理などについては、派遣先会社にも基準を守る義務があり、それを怠っている場合は、派遣社員のあなたでも派遣先に改善を要請することができます(Q61,64参照)。先に触れたように、派遣労働と似たような労働形態に、請負という働き方があります。請負とは、仕事を完成させることを約束して、その仕事の結果に対して報酬が支払われる契約です。請負会社が仕事の完成までまるごと注文主から注文を受け、労働者は、雇用契約を結んでいる会社(請負会社)とは別の職場(注文主)に赴いて労働を提供します。その際、労働者は請負会社の指揮命令の下で働くのですが、実際には注文主の指揮命令下で働いていることがしばしば見受けられます。これがいわゆる「偽装請負」です。労働者派遣法の規制を潜脱するために、こういった偽装請負が横行します。派遣なのか請負なのかは、実態から判断されますので、職業安定法施行規則4条や厚労省が策定する「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」を参考にしてください。派遣法は、「二重派遣」や「専ら派遣」といった派遣形態を禁止しています。二重派遣とは、派遣先会社が、派遣されてきた労働者をさらに別の会社の指揮命令下で就労させるものです。使用者の責任の所在があいまいになったり、二重のマージンにより賃金が下がったりといった弊害があるために禁止されていますので、派遣先からこういった指示がある場合は、指示を取り消すよう要求できます。専ら派遣とは、特定の企業に労働者を派遣することを目的とする派遣のことをいいます。本来ならば直接雇用すべきところを、派遣労働を利用することによりコスト削減や雇用調整がしやすくなります。「専ら派遣」にあたるかどうかの判定基準があるのですが、あまり有効に機能しておらず、情報通信業、金融保険業などの大企業グループの間では、グループ内の派遣に偏った派遣事業者が存在しているのも実情です。そこで、平成24年の改正法には、関係派遣先への派遣労働時間の割合を制限する条文が設けられています。なお、違法派遣の場合の労働契約申し込みみなし制度については、Q2、Q53を参照してください。 セ