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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場鑑賞
DVD 硫黄島からの手紙 【ワーナーの年末年始大特価キャンペーン 1500円】 映画の話 太平洋戦争の末期、戦況が悪化した硫黄島では日米軍の戦闘が開始されようとしていた。その頃、島に新しい指揮官、栗林忠道が降り立った。戦死が名誉とされていた中、彼は兵士たちに生きて国に帰ることを命じる。 映画の感想 まず、脱色したようなカラーとも白黒とも言いがたい画面にミラノ2のピントの甘い映像にガックリ。現代の硫黄島での発掘チームから始まるのだが、何かスピルバーグの「ジュラッシック・パーク」のオープニングとだぶる、そして1944年の硫黄島の二宮和也の穴掘りシーンから、渡辺謙扮する栗林大尉の登場シーンになるのだが、栗林大尉の部下思いで理想高く芯の強い人物を印象づけるシーンだ。でも気になるのは言葉遣いだ、現代と変わらぬ喋り方に疑問を感じつつ、伊原剛志、中村獅童、加瀬亮など登場して主要キャスト達が顔を揃える。 ここまでは良かったのだが、米軍が硫黄島に進撃してから頭の中で「父親達の星条旗」と比較してしまい、素直に一本の映画として見れないこと「ここのシーンはああだった、ここはこうだった」みたいに二本の映画を再構築しながらの鑑賞で集中が出来ない。けして悪い映画ではないのだが人間の性で頭がフル回転で映像を比較している事を感じる。 映画は、目を背けたくなる悲惨な日本軍が描かれる中、中村獅童扮する士官がイイ、戦争の狂気に取り付かれ自分の信念を曲げず上官にも歯向かい、部下の処刑も躊躇しない姿を映し出す、獅童はこの様な役をやらせると旨い。部隊から離れ一人狂気に突っ走る獅童、この映画の中で際立って異常な役だ。圧倒的な米軍の戦力に玉砕して行く日本軍を描きながら映画は終結へと向かう。 この映画の主人公の栗林大尉を演じた渡辺謙にとってハリウッド進出4本目で「ラストサムライ」「バットマン ビギンズ」「SAYURI」とワーナーブラザーズと育んで来た種が開花した作品であり、同じ日本人として誇り高い気持ちを感じた。 それから昨日、たまたま映画を見た日は天皇誕生日、朝のニュースで皇居での一般参賀でガラス越しのの天皇に大声で「天皇陛下、万歳!」を空々しく連呼する人々を見たばかりで、映画の中でも何度か「天皇陛下、万歳!」と言うシーンがあるが、映画の方には天皇陛下に命を捧げた重々しく空虚な感情が篭っている印象を受けた。この映画を、(否定する訳ではないけれど)平和な現代で『天皇陛下、万歳!」と天皇を崇拝する人々にぜひ見て欲しい作品である。 「硫黄島からの手紙」の映画詳細、映画館情報はこちら >> 「硫黄島からの手紙」の関連商品と、渡辺謙のハリウッド進出作品のDVDはコチラをクリック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは、私もこの映画を観ました。
大本営からも見放され戦闘機は引き上げられ僅かしか残されず、後方支援も絶たれて孤立無援の中でこれだけの期間戦い采配を振るった栗林中将は硫黄島で自分の持っている全てを出したのだと思います。 その栗林中将が唯一家庭人に戻れる瞬間が手紙を書いているときでしたね。 私の高校時代は日本史は明治維新で終わったのでこの頃の歴史は全く知らないで、今回始めて知った事実が多かったです。 (2006.12.27 23:10:10) |
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