ｍａｓａｌａの辛口映画館

　　　
￥2000【新品】≪ブルーレイ≫NEXT　ネクスト

　映画の話
　ラスベガスの小さなクラブでマジシャンをしているクリス（ニコラス・ケイジ）は、未来を予知する能力を隠し持っていた。一方、ロサンゼルスのどこかに核爆弾が仕掛けられ、アメリカ全体が2時間以内に壊滅する危機にさらされる。FBIのカリー（ジュリアン・ムーア）はクリスに協力を依頼するが、彼が予見できるのは自分の身の回りに起こるほんの2分先の未来で……。

　映画の感想
　こりゃ駄目だ！
　映画は「ブレード・ランナー」「トータル・リコール」の原作で知られる、米作家フィリップ・Ｋ・ディックの短編「ゴールデン・マン」を、製作のゲイリー・ゴールドマンが大胆に脚色し、「００７／ダイ・アナザー・デイ」のリー・タマホリが監督したと言う何とも胡散臭さプンプンの品だが、意外と予告の出来が良かったので期待半分、諦め半分で鑑賞したのだが、やはりアクション畑のリー・タマホリらしく“ＳＦ心”は微塵も感じられず、アクションの力でグイグイと引っ張っていく展開である。

　以下ネタばれあり
　映画の出足は快調である。二流マジシャンを隠れ蓑にしたニコラス・ケイジ扮するクリス・ジョンソンは「自分の身に起こる２分先が見える」と言うが、ビジュアルだけで表現していて、その仕組みは観客には良く判らないのが難点である。カジノの換金所で強盗を予知したクリスは強盗を阻止するが、反対に犯人扱いされ追われる身になり、車を盗み逃亡する辺りはケイジの主演作「６０セカンズ」のセルフパロディのようで苦笑してしまう。そして、すっかり老け込んでしまったピーター・フォークを少しだけ引っ張り出したのはケイジの趣味だろう。

　そしてクリスの予知能力をＦＢＩが目を付けスカウトする。後の恋人となるリズとの出会いのシーンはコミカルで中々面白い。そして何故かクリスは「リズの未来が随分先まで見える」のだがこの辺の仕組みも判らない。何ともご都合主義の設定で映画はグングン進む。

　クリスはリズに伴い旅に出て、モーテルに一泊した後からは怒涛のアクションの連続が始まる。リズがテロリストに拉致され、クリスも強制的にＦＢＩと共にテロリストと戦う過程が描かれるのだが、何と驚愕で脱力のオチが・・・・・。

　もうこのオチが描かれた後の試写会場のザワめきは凄いものであった。よみうりホールの１１００人のお客さんが一斉にザワザワとどよめきだした。このザワメキを残し映画はエンドロールになり、エンドロールが終わったらまたドッとどよめきが・・・。オチに関してはディックの「トータル・リコール」と同系列のオチなのだが、向こうは完全にお客さんを騙したまま終わったので良かったが、本作は種明かしをしてしまい、そのオチもあまりにもあざといオチで登場人物に感情移入してきた観客を欺いている。これでは観客は満足して帰路につけないじゃないか！このオチのせいで前半～後半までボチボチの出来だったのに着地点の悪さで映画を台無しにしてしまった。まぁ怒涛のアクション＋脱力感を味わいたい方にお勧めの作品である。そして言うまでも無いがニコラス・ケイジの髪型は相変わらず変である。

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