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カテゴリ:劇場鑑賞
27日有楽町スバル座にて「ラストキング・オブ・スコットランド」を鑑賞した。
客入りは、3割ほどで中高年を中心に男性が多い。予告編の前はお馴染みの『馬場医院』のスライドのCMが何ともレトロ感覚。 映画の話 ラストキング・オブ・スコットランド <特別編>(ラストキングオブスコットランド) スコットランドの医学部を卒業したニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は、医者としてウガンダの小さな村にやって来る。軍事クーデターにより新大統領となったアミン(フォレスト・ウィテカー)のカリスマ性に魅せられた彼は、偶然アミンのけがを治療し、主治医に抜擢される。 しかし、次第にアミンは、ニコラスに個人的、政治的なことまでも相談するようになる。やがてニコラスがアミンの凶暴な真の姿に気づいたときは、逃れられなくなっていた…。 フォレスト・ウィテカーが本年度のアカデミー主演男優賞を受賞した事で話題の作品である。そのウィテカーの演じるのはアミン大統領!私もリアルタイムではアミンを知らないが、私の年代だと直ぐに映画「食人大統領アミン」のアミンだ!とピンと来る人物である。 ただ作品は未見なので比較が出来ないのが残念である。 監督が、ドキュメンタリーの傑作「ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実」でアカデミー賞を受賞したケヴィン・マクドナルドなので、本作もドキュメントなのかフィクションなのか錯覚を感じる作風になっている。映画の話も実在のアミンを軸として、架空の青年医師ニコラスを絡めながらエア・フランス機のハイジャック事件を絡めるという巧みなストーリーで、青年医師の眼を通して歴史的な事件を炙り出す話は、今年公開した「ルワンダの涙」の構成と酷似している。 映画の作風もドキュメンントを意識して、黄色みかがったザラっぽいコントラストの強いフィルムにハンディカメラと素早いズームを活用してドキュメントフィルム風に再現される。そしてアミンの登場の仕方も実に旨い。ニコラスが初めてウガンダの地に降り立ち、走るバスから街頭で演説するアミンがチラッと写る。その後も、アミンのシーンはハンディカメラの揺れと共にズームインをするので実写かと見まがう錯覚効果を感じる。それにしてもウィテカーが旨い、人懐っこく相手に接していたと思うと突然怒り出したり、その反対の怒りから笑いなど見ていて背筋が寒くなるほど不気味に演じている。普段、温和な役を演じる事が多いウィテカーをこれほど怖いと感じたのは初めてだ。特にあの片目だけ大きい眼が以上に怖いし、なによりも演技の押し引きが絶妙なのだ。 それから久々に「Xーファイル」スカリー捜査官ことジリアン・アンダーソンが出演しています。すっかり痩せてしまってオーラも消え寂しい役での出演。 映画の感想 恐ろしい映画だ。大統領の独裁国家と言えば現在でも北朝鮮にも通じるものがある。とにかくアミンという人物は二つの顔を持つ人物で、気に入った人間にはとことん甘やかし、自分を裏切った事を知れば手のひらを返したようにリンチを加える人物で「飴とムチ」の使い分けが旨く、猜疑心は人一倍強い。そんな人物をウィテカーが好演している。そして青年医師ニコラスを「ナルニア国物語」のタムナスさんを演じたジェームズ・マカヴォイもウィテカーに負けない位にいい演技をしている。行き当たりばったり的な行動なのだが、周りとの順応力が強く、欲望に正直に生きる人物を好演している。映画は、恐ろしいシーンが多々あるが最後のハイジャックのシーンは緊張を強いられるシークエンスであり、史実と虚構をミックスした素晴らしいシークエンスだった。 この映画は、アミンという人物を知らなくても十分理解できる話であり、アミン大統領の狂気を炙り出した素晴らしい作品である、必見の一本だ。 公式サイト この公式サイトの出来が良く、当時のドキュメント映像や実物のアミン大統領の映像も多数見れます。但し日本語字幕は無いのが玉に瑕。 映画「ラストキング・オブ・スコットランド」の関連作品はコチラをクリック。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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