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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場鑑賞
公開から4日目の平日の夕方。542席のスクリーン5に20~30名ほどの客入りだ。こんな客入りで「本当にヒットしているのか?」と疑問を感じつつ、各横1列1組程度のゆったりとした空間で鑑賞した。
映画の話 愛する人を失ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)を追及するうち、新たな悪の組織の陰謀を知る。それは謎の組織の非情な男、ドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)が南米のある政府の転覆と同地の天然資源を手にして、世界を支配しようとするものだった。 映画の感想 かなりハード&ドライの渋い内容だ。映画は前作から1時間後と言う設定なので「007 カジノ・ロワイヤル」の予習は必至である。 以下ネタばれ注意 映画はオープニングからいきなり凄まじいカーアクションからスタートするので、心の準備が出来ていなくドキドキしてしまう。続くミスター・ホワイトの拷問から、裏切り者ミッチェルとボンドの追跡劇がすごい。前作から流れで走る&飛ぶなど人間の肉体を極限まで追い込んだアクロバティックなアクションが圧巻だ。 オープニングの舞台が陽光降り注ぐイタリアからロンドンに移るとお約束の雨と言う洒落た演出が良い。今回は舞台が各国へポンポン飛び回る設定なので、見ていてちょっと忙しい。今回のボンドの任務は無い、ボンド自身の私情の復讐劇であり、ボンド自身の私情の行動は順番は逆になつてしまうが『007/消されたライセンス』(89年)以来である。 007/消されたライセンス デジタルリマスター・バージョン そして本作はボンドと共に行動する謎の女カミーユの復讐劇でもある。幼い時に家族を敵となる将軍に殺された過去を背負い復讐のチャンスを狙っている女だ。ただ、このプロットは台詞だけで語られるのが難点であり、フラッシュバックでも良かったので彼女のトラウマとなった出来事を映像で見せて欲しかった。 それにしても前作もそうだったが、本作は徹底したリアリティを追求したアクションが好印象である。今までの007シリーズは回を重ねるごとに荒唐無稽に磨きがかかり「007/ムーンレイカー」では宇宙にまで行ってしまったが、今回のボンドは自分の肉体を基本にして敵に戦いを挑んでいる。その為か、いつも何処かしら出血していたり、裸になれば体はキズだらけである。この辺はシリーズ1作目『007/ドクターノオ』以降のスーツ姿やタキシード姿のスマートなボンドとは正反対の、敵に向かって一直線のガムシャラな暴れん坊キャラクター像がポイントであろう。 それから007に付き物ボンドガールの存在で言うと、ボンドの監視役の女性の死体がベッドの上で真っ黒いオイルまみれの全裸で発見されるシーンは「007/ゴールドフィンガー」での金粉全裸死体へのオマージュであろう。 最後に本作の音楽を担当したデヴィッド・アーノルドについて書きたい。彼は「スターゲイト」「インデペンデンス・デイ」「GODZILLA ゴジラ」などローランド・エメリッヒ作品でジョン・ウィリアムズを真似たスコアで頭角を現し、007シリーズは「トゥモロー・ネバー・ダイ」以降の作品を全て手がけている作曲家だ。彼の特徴は007シリーズの多くの音楽を手がけた作曲家ジョン・バリーのメロディ・ラインを上手く継承していて、実際に「トゥモロー・ネバー・ダイ」の音楽を手がけるときにはジョン・バリーに直接伺いを立てたそうだ。そんな訳で本作のスコアもジョン・バリーの王道のメロディを継承しつつ、アーノルドらしい早いデジタル・ビートを融合したNEWボンド・サウンドを生み出し違和感無く007の世界観を受け継いでいる。そして本作もとても良い仕事をした影の功労者であろう。 映画「007/慰めの報酬」関連商品 007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション(期間限定)(DVD) ◆20%OFF! 007/慰めの報酬 Quantum of Solace ポスター¥3800以上お買い上げで 送料無料 007/慰めの報酬 Quantum of Solace ポスター¥3800以上お買い上げで 送料無料 【CD】007/慰めの報酬~オリジナル・サウンドトラック/サントラ お得な映画チケットのショッピング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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確かにカミーユの過去が薄っぺらでしたよね。
語らせるだけじゃなく、憎しみの深さを知らしめる 何かがあったほうが良かったと思います。 ロケ地が豪華だったけど、付いていく方は大変でしたねf^^; (2009.03.07 23:33:26) |
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