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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場鑑賞
客入りは20名弱。中学生くらいの男子6人組が食べるポップコーンの音が劇場内に盛大に鳴り響く悪環境での鑑賞。劇場はヒットしていなのか小さめのシアター5。
ワルキューレ プレミアム・エディション 映画の話 第二次世界大戦下のドイツ。戦地で左目を負傷した将校・シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、祖国の平和のためにヒトラー暗殺計画を思いつく。過去に40回以上の暗殺計画をくぐり抜けてきたヒトラー(デヴィッド・バンバー)とその護衛たちを前に、大佐たちの計画は成功できるのか……。 映画の感想 “トム・クルーズ主演×ブライアン・シンガー監督”作品と聞き、勝手に派手な戦争映画と思い込み見に行ったら全然違う作品でした。映画は実話を元にして歴史上の人物“アドルフ・ヒトラー”暗殺計画を題材にしているため、「話をいじれない」「着地点も見えている」と言う2重の縛りの為か、話も広がらず地味な印象は否めない。どこか暗殺計画を題材にしたスティーヴン・スピルバーグ監督『ミュンヘン』とも通じる作品だ。 以下ネタばれ注意 映画は『レッドクリフ』を配給した“東宝東和”さんらしい、日本独自の歴史前説が入り、登場人物にもいちいち役名が入る観客にバカ親切な上映スタイルだ。台詞は冒頭1分ほどがドイツ語で突然英語に変わってしまう乱暴な設定である。 まず映画はトム・クルーズ演じる主人公シュタウフェンベルクが駐屯地で爆撃に遭い、手足、左目など体の機能を失うエピソードからの幕開けで、このシーンが映画の中で一番の見所で、その後は淡々と暗殺計画が実行されるまでが描かれる。暗殺と言ってもヒトラーに酒型爆弾を送るとか、部屋に爆弾を置いて爆破させるアバウトな計画で、2度目の爆破は成功するもののヒトラーは案の定生きている。これだったら捨て身のヒットマン計画でもした方が確実だったような気がする。 ヒトラー暗殺失敗でクーデターも失敗してしまい、散々な“ワルキューレ作戦”メンバーたちが待つのは処刑という救いようの無い後味の悪い作品である。まぁ本作が言いたい事は「ヒトラーが行う独裁政権の中でも正しい判断が出来た英雄伝」なのかも知れないが、何か今の時代にマッチしているようには感じなかった。先に書いた2重の縛りからくる制限もあり、実話の映画化の難しさを感じる作品である。 それにしてもブライアン・シンガー監督はナチスが好きである。彼の初期の作品『ゴールデンボーイ』は元ナチス将校の話であり、本作に至ってはナチスのメンバー&兵隊のオンパレードだ。こんな作品で本国アメリカではどのような評価がされたかが気になるところだ。そして、本作で一番気になったのは製作、音楽、編集を担当したジョン・オットマンだ。『ユージュアル・サスペクツ』から本作まで多くのブライアン・シンガー監督作品で手腕を発揮する才人と思われるが、詳しいプロフィールが不明の為に自分の中では未だに未知数の人物であるが、本作のダイナミックでサスペンスフルなスコアは絶品であった。 映画「ワルキューレ」関連商品 オリジナル・サウンドトラック『ワルキューレ』/ジョン・オットマン[CD] ヒトラー暗殺計画 アナザーサイド オブ ワルキューレ 【中古DVD】ゴールデンボーイ/サスペンス・ミステリー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.02.23 14:47:59
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