今回はいよいよ。
とんぼ玉の技法では花形とも言える、パーツの科学!(^_^)v
とんぼ玉で必ず出てくるものとして、今回のパーツがあります。
このパーツ。
「上手く貼り付けられない」
「真っ直ぐに入らない」
「ぼやけてしまう」
というトラブルが多いです。
どうしたらいいでしょう?
実は上手くいくコツがあります。
パーツも、科学的なことを知っていると楽しいです。
さてトップ画像の、基本パーツの創り方です。
1・白い不透明ガラスを円筒形にして、スレッドを短く切り、ピンセット等で規則正しく並べる。
この時、白い細スレッドを間に並べると、線が混じりません。
ガラスは、力を加えない限りは、隣り合う色は混ざらず、真っ直ぐになるためです。
2・種を熔かし、やわらかくして引き伸ばす。
この引き伸ばし方は、講座6の、ツイスト棒の引き伸ばし方と同様です。
3・出来上がった棒をカットし、パーツにする。
もちろん、アレンジしても良いです。
アレンジの例としては、AとBがあります。(図を参照)
このパーツの場合は真っ直ぐに引き伸ばしましたが、別にツイスト棒をパーツにしても全く構いません、むしろ面白いものが出来ます。
このパーツを実際に創っている画像はこの記事に載っていまして、もうひとつ関連記事はコチラ。
パーツはどう埋めればよいでしょう?
まずパーツを貼ったら、先端だけを熔かします。(1・2)
そうしたらすぐにコテで、少しだけ圧力をかけます。(3)
圧力は、上から真っ直ぐにかけましょう!
パーツは、上から圧力をかけると、その反動で横に広がります。
物質は、力をかけると、必ず反動があります。
(パーツガラスにとっては、上から圧力が掛かるため、横しか逃げ場がない)
そして、熱線を当て、上だけを少し温めて、またコテで圧力をかけます。
これを何度か、根気よく繰り返しますと、段々と均等に丸くなっていきます。
6の状態ですと、まだパーツだけで独立して、丸くなりやすいです。
※これについては後ほど説明します。
完全に溶かし込むには、7のように半山にしましょう。
※この状態で仕上げても良いです。
そうして出来上がり!
MASUMIの科学的とんぼ玉講座では、ほぼ必ず失敗例も挙げています。
失敗例を挙げて『何故そうなるのか?』を、一緒に考えていきます。
それが分かると、成功する方法もよく分かります。
失敗例では、パーツ全部がやわらかい状態になってしまっています。
すると、ガラスの重み、重力と、シャフトを回している遠心力により、左右どちらかに自然と傾きはじめます。
これを放っておくと左右どちらかに倒れます。
その前に慌ててコテで押そうとしても、強引に圧力をかけることになり、斜めになったまま圧力で押し広げてしまうことになります。
すると、パーツの文様が流れてしまって失敗します。
この場合は、強い熱線が加わっているため、文様も滲んでしまって明瞭ではありません。
特に初心者の方はまだ余裕をもてない場合が多いので、玉の文様が明瞭にならず、ぼやけてしまったり、文様が明瞭でも、パーツが真っ直ぐと入ってない場合が多いようです。
焦らずいきましょう。
これらから言えることは。
良い例は、少しずつコテで押している。(圧力小さく、何度も)
悪い例は、一気にコテで押している。(圧力大きく、一気に)
パーツを釘に例えて、釘を少しずつ打つような感覚で埋めると、分かりやすいと思います。
釘も、一気に打つと曲がってしまいますよね?
パーツも同様で、やわらかくすると自然と曲がってしまいます。
そこに強い圧力を加えると、真っ直ぐ埋められることは少なく、どちらかに流れてしまいます。
更に、実際の形に近い形式でリアルに説明致します。
まずは悪い例です。
ここでひとつ、とんぼ玉には『こうしちゃいけない』『こうする』というのは本当はないのですが、わたしならこうします……という風にこの講座で科学的に述べています。
まず、パーツを埋める場合、最初にコテで転がさないほうがいいです。^^;
というのも、最初にコテで転がすと、この図のようになり失敗しやすいのです。
パーツ全体をやわらかくしたまま、圧力を強引にかけてコテで押さえつけるように回すと、パーツが歪み楕円状態になりやすいです。
更に圧力と遠心力の影響もあり、このまま完全に熔かすと失敗しやすいです。
良い例(立体的)では、このようにコテで転がすのは、パーツが殆ど熔けた後か、全て熔けて埋め終わった後です。
その前に、あの『少しずつ熔かすやり方』で、ちょっとずつ熔かしていきます。
ひとつひとつ、真っ直ぐに確実に圧力をかけていきます。
但し、少しずつ!(1~3)
1~3を繰り返すと、段々4~7のようになります。
パーツは、先端からちょっと熔かして、ちょっと押して……というやり方のほうが、失敗しにくいでしょう。
また、コテを下にして圧力をかけると、パーツがどうなったのか、様子が見えにくいため、慣れていない場合失敗しやすいです。
このように、コテを上にして、圧力をかけてください。
その方が、パーツがよく見えますよね。
すぐにどうなったか確認できるので、少しずれたとしても修正でき、失敗しにくいのです。
また、パーツを複数個貼る場合が圧倒的に多いと思いますので、パーツが広がった場合の大きさを考えて貼りましょう!
良い例はこうなるわけです!(*^_^*)
また、このパーツの仕上げ方も、いろいろあります。
1は、この後に、中心を集中させています。
このような処理は、アイスピックを使うと、中心が上手くまとまります。
※炎の外で、作業してください。
応用例として、渦巻きのようなパーツを想定して、ツイスト棒からパーツにすると効果的です。
2と3は、花の芯があるパーツです。
この芯の大きさを変えると、また楽しいと思います。
花びらを大きくしたければ長めに切り、短くして、芯を大きくしたい場合は、短く切ります。
このパーツの長さが、花びらの長さになります。(図を参照)
また、ここに挙げてませんが、芯用の黄色いガラスを巻き忘れても、点打ちすればいいですし、点打ちを半山にすれば、また面白い表現になります。
とんぼ玉は、一気にやったほうがいい技法は割と少ないです。
コツは、炎で熔かしすぎないことです。
逆に、一気にやったほうがいい技法は、コーティング(スキがけ)などです。
さて先程出てきた疑問ですが、半山以上の丸い山の場合、何故丸くなりやすいのでしょうか?
パーツにおけるガラスの性質を知りましょう。
1・Aより、Bが短い場合、パーツだけで丸くなろうとする性質が働く。
2・Aより、Bが長い場合、玉全体で丸くなろうとする性質が働く。
※パーツが玉全体に馴染もうとして、横に広がろうとします。
パーツを埋める場合は、2を目指すと良いです。(2の方が、玉としては丈夫)
まず、ガラスは熱すると表面張力で丸くなり、丸いガラスの塊だとそれぞれに丸くなりやすいのです。
1が、パーツが独立して丸くなりやすいのは、そのためですね。
AとBの長さに関係しています。
逆に2の状態になると、パーツが完全に玉に馴染み、その後は玉全体がやわらかくなるので、
そこまでやわらかくなり過ぎないように、気をつけましょう!^^;
1の状態だと衝撃に弱く、パーツが取れたり欠けたりしやすいと言えます。
この表現を生かしたい場合は、もう少しだけ熔かし、AとBを同じ長さにしましょう。
※半山の状態にすると、少し欠けにくくなります。(*^_^*)
物質の形状で最も丈夫なのは、球形であることをお忘れなく!(衝撃が均等に掛かるからです)
実は今日も、本当はとんぼ玉を創りましたが、今回このパーツ講座を詳しく挙げたかったですし、ひとつに絞りたかったので次回とします。
でもどうしても載せたい!
そこで。
下は、創った最新玉の予告画像です。↓
次回、乞うご期待!(*^_^*)