名作落語大全集

「仕事の関係で月末が３連休になったのじゃ」
「そうですか」
「それで、爺さんの手記を取材しようかと思って……今、支店で岡山時代を公開しているが、ちゃんとワープロ化しているのがここまで、じゃが、その先も読み進めてはいる」
「それで」
「岡山の高校卒業後、足守で少しだけ教師をやって、名古屋美大で建築を学び、横浜市に就職、東京へ移って公務員をあきらめ、大阪へ出る」
「大変な人生だったようで」
「さて、それで、大阪の思い出として書いた部分を読んでいるのじゃが、出掛けた先がちょうど宝塚線の沿線にある。そこで、ここを探索しようと計画を立てた」
「では月末に……」
「いや、そこで大きな問題が起こった」
「何です」
「この宝塚線を更に進むと、清荒神という駅がある」
「ありますね」
「この駅前の宝塚ベガ・ホールで、９月30日の２時半から、内田奈織ちゃんのコンサートがあるのじゃ」
「あらら……それじゃあ、行かなければ……」
「そうなのじゃ。演奏はフルートとの共演で、日本の歌とクラシック。後で交流も出来るぞ」
「ぜひ皆さんも」
「前売２千円。宝塚市社会福祉協議会０７９７－８６－５０００へ」
「はいはい」
「問題は……」
「何です」
「先に予定した手記の舞台を見に行くのじゃが、滝と妙見様へ行くのに、それぞれ駅から往復２時間の予定……見物に合計１時間として、電車での移動など加えると、合計約６時間」
「はい」
「津山から高速バスで大阪へ行くのじゃが、始発バスで９時頃の到着なのじゃ」
「それから６時間……３時ですね」
「そう。２時半の演奏にどうやって間に合わせるか……時間との戦いが始まっている」
「大変ですね」
「あきれて言うな……まあ、計画を立てている時が一番楽しいな。行ってしまえば何とかなるのじゃが、この３０分をどうやって詰めるかという、ここに味わいがある」
「まあ、一人でじっくり味わってください」