名作落語大全集

「さあ、この日は銀座でコンサート」
「はい……となると……」
「そう、田舎者は一つのイベントだけで上京するのはもったいない」
「ということで」
「美術館めぐりをすることになった」
「例によってすごいね……で、写真は……」
「ちょうど巨人の優勝パレードに重なった。交差点の向こうにあるブリジストン美術館まで行くのに、京橋の地下道を渡れって……」
「日本橋から京橋って遠いですね」
「往復９００ｍじゃな……迷惑じゃなあ」
「はいはい」
「この人数じゃから、東京マラソンの半分、オリンピックのパレードの３分の１じゃな……３万５千人」
「どうでもいいね」

「さあ、ブリジストン美術館は気ままにアートめぐりという、絵画の歴史をすべて理解できる素晴らしい企画。木戸銭は８００円」
「それ、木戸銭って言わないよ」
「今回もぐるっとパスを利用するので、２千円払って購入すれば、ここはタダ」
「はい。画像は省略」
「写真は、裏通りを進んで、まず見つけた画廊。鷲森秀樹展。光が素晴らしい。絵葉書では全くその光は感じないなあ」
「きれいですがねえ」
「１２月７日までやっているので、皆様もぜひ……中通りビルのドゥ画廊じゃ」
「はい」

「これは牛……牛の皮でバッグなど作り、余ったものでこういう物を作ったのじゃ」
「へえ」
「大きいのが３１５円、小さいのは１０５円」
「安い」

「こちらは采女が原跡にある采女橋。松平采女さんの屋敷があって、享保の大火で焼け、火除け地となった。橋は関東大震災の後にかけられ、昭和37年に川が埋立てられ、高速道路になった」
「はい」

「これはレストラン」
「スプーンとフォークがお出迎えですか」

「こちら意外に知られていない銀座の中の神社。三原小路にあるあづま稲荷大明神じゃ」
「へえ」

「こちらは最後の美術館」
「え……あ、鏡に額があるんだ」
「面白いなあ……実は十数か所の美術館、画廊を回ったので、それはまたいずれ……」
「で、演奏会は」
「あ、それはまたいずれ」
「いい加減だね」