名作落語大全集

「はい、またしてもやって参りました、爺さんのぢい散歩」
「今回はどちらへ」
「王子から池袋、新宿と回るコースで」
「行きますか」

「王子は落語ではお狐様でお馴染み。そのあたりの話はいずれ」
「はい、で、こちらは」
「お札と切手の博物館」
「いいですね」
「お土産に、お札のつかみ取りも……」
「え、あるんですか」
「ある訳ないじゃろう」
「馬鹿にされたね」
「左側に切手と同じ穴が空いているが、これは来場者が自分で打つのじゃ」
「へえ、そういう体験もできるんですね」

「朝９時半からやってるが、10分早く着いて入れてもらった」
「え……時間はいいんですか」
「わしを誰だと思っているんだと言ったら……」
「また迷惑かけてるな」
「現在の展示は『珠玉の偽造防時技術』。お札に入っている透かし、金額部分がざらつく、ホログラム、潜像模様、マイクロ文字、等々……実際に見て体験できるぞ」
「面白いですねえ」
「それから全体に入っている波のような模様も」
「色々ありますねえ」
「世界のお札も、最大金額の10兆ドル紙幣などが展示されている」
「へえ」

「さて、こちらが記念写真。今年は2012年なので、その金額で実際に使えるお札を作ってくれる」
「え、本当ですか」
「嘘に決まっているじゃろう」
「あれ……」
「そんな訳で駅の方へ戻り、飛鳥山へ参ります」
「はい、また次回」