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「さあ、3月までのぢい散歩は水曜と日曜に実施しておりました」 「今度は20日の水曜日ですね」 「実はこの前に土浦の散歩を行いましたが、桜には早すぎたのでやり直し。そこで報告は一つ飛んで、15回目を……」 「はい、参りましょう」 「三鷹駅前の三鷹市美術ギャラリーからスタートじゃ」 「はい」 「こちらが入口」 「はい」 「ということで、次行こう」 「あれ……中の紹介は」 「3月の末は市民団体の展覧会をやっていたので、実は無料で入れる」 「何だ」 「『芸術家の肖像』という、芸術家を写した写真集を購入」 「で、次なんですね」 「歩いてすぐの所に太宰治文学館。わしゃ学生時代は三鷹、吉祥寺は行きつけ、東小金井が通学路で、南沙織って歌手が近くに住んでいた」 「はい、それが……」 「桜桃忌に学校を抜け出して禅林寺まで行ったが、そこで太宰の未亡人に会った。例の『富岳百景』でお見合いをした人じゃ」 「へえ」 「それで、玉川上水も……友人が大ファンだったのじゃ。それで…… 『ここから飛び込んだのか……どんな気持ちだったんだろうなあ』 『知りたいか』 『うん……』 だからそっと後ろに回って、背中を押してやった」 「どうなりました」 「きゃって言って落ちて行った」 「かわいそうに……」 「まあ、その頃こんな施設があったら、通い詰めていたのじゃろうなあ」 「はい」 「ここは伊勢元商店という酒屋さんの跡。太宰の一家が利用していた。太宰の『十二月八日』という作品にも登場している」 「中は」 「実は週末から再開するというので閉まっていた。毎月第四日曜日には太宰ゆかりの地を歩くウォーキングが予定されている」 「じゃあ、中を見なかったんですか」 「え……なぜ」 「だって休みでしょ」 「そりゃあ……俺を誰だと思っているんだって言えば空けてくれるし……」 「ひどいね」 「こちらは駅に近い商店街。ここに田辺という肉屋があり、『斜陽』を書くためにここのアパートを借りて、外部との連絡も絶ったという」 「へえ」 「『犯人』という作品では、鶴という女性の姉が肉屋に嫁いでいるという設定で、吉祥寺駅まで森ちゃんを送って高円寺までの切符を買ってやり、自分は三鷹までの切符を買ってホームの混雑にまぎれて手を握る……という場面があった……と思う」 「調べなさい」 「駅前のロータリーに戻って、そこから玉川上水に沿って進む」 「桜は見えますね」 「風の道と呼ばれていて、ちょっと散歩するのにはいいかな」 「いいですねえ」 「こちらは休憩所」 「何です」 「太宰の『乞食学生』という作品の碑がある。 玉川上水は深くゆるゆると流れて、両岸の桜は、もう葉桜になっていて真青に茂り合い、青い枝葉が両側から覆いかぶさり青葉のトンネルのようである。 と書かれているね」 「太宰の愛した世界なんでしょうか」 「この道を進むとゴールは井之頭公園、その南側に三鷹の森ジブリ美術館がある。随所にこのような案内板があるぞ」 「なるほど」 「さて、井之頭公園に行く前に、目的地があるが……」 「それは……」 「また次回」 「やっぱりね」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.04.09 19:32:28
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