名作落語大全集

「さあ、皇居周辺の散歩は国立劇場まで参りました」
「ここがゴールですか」

「まずは裏の演芸場から」
「あれ……」

「こちらで21日まで開催しているのが、マリオネット展」
「あ、なつかしいですね」
「安木節と小原庄助さん」
「右端にドジョウの頭も見えます」

「これもおなじみの闘牛士とカルメン」
「はい」

「伝統芸能情報館」
「はい、こちらでも催しが」

「歌舞伎の四季を見る展覧会。こちらは９月２３日まで」
「皆様もどうぞ」
「写真は落語でもおなじみ髪結新三に登場するカツオ。ホトトギスの声が聞こえ、青葉が配置され……」
「俳句の世界が感じられますね」

「絶景かなの南禅寺」
「はい、これもおなじみ」

「午後からは林家今丸師匠の講演。紙切りの歴史は面白かった」
「はい」

「後半は実演」
「いいですねえ」
「まあ……」
「何かありましたか」
「切ってもらうお客さんがみんな手土産などを持っていた。つまり、内輪の会だったのじゃろう」

「あら、そうなんですか」
「そういうところがちょっと不満じゃな。一般的な会と思って行ったので……」
「はい、作品が出ています」
「これはクジラじゃな」
「へえ」
「ということで、万歩計で１１１１１歩、７キロの散歩でした」
「計算が違いますね」
「新しい万歩計になったの。それで実際歩く距離まで計測してくれるのじゃ」
「へえ」
「木戸銭などはすべて無料ということで、本日のご報告を終わります」
「はい」
「なお、今日から山籠もりに入りますので、数日更新いたしません」
「はい、戻るのをお楽しみに」