名作落語大全集

「さあ、記念すべき今年の第６０回ぢい散歩」
「よくやりますねえ」
「今回は新宿周辺を歩きます」
「参りましょう」
「まずは代々木上原にある古賀政男音楽博物館」
「はい」

「古賀政男の家が、門から石畳、家の中も書斎などが再現されている。もちろん、作品にも触れてもらおうという」
「いいですねえ」

「今開催しているのが、埼玉千葉を歌った曲」
「小さくてよく分からないですね」
「曲を流すコーナーもあるのだが、この日は何らかの演奏会に参加する小母さん方がわあわあやっていて……次々に博物館内に入って来て騒いでいるので嫌になった」
「ということで、早めに切り上げました」
「後で考えたら、博物館の料金を払っていないんじゃないかなあ」
「あり得ますね」

「小田急線で参宮橋駅へ移動。ここからオペラシティまで歩きます」
「え……かなりありますにょねえ」
「１キロちょっとじゃ。一気に行くのではなく、途中に、ほら、刀剣博物館がある」
「あら」

「こちらでは今年重要刀剣等の指定を受けた作品の展覧会」
「へえ」
「刀の鑑定法なども紹介してくれるが、どうもよく分からないね」
「駄目ですか」
「鍔のデザインが面白いのは分かる」
「はい、それを楽しみに訪れています」

「これは刀を作るための地金」
「へえ」

「何もないのも愛想がないので、刀を一振りだけご紹介」
「何というんです」
「さあ、次行こう」
「やっぱり駄目だ」
「ということで、本日の散歩は始まったばかり。これからオペラシティへ参ります」
「はい、続く」