名作落語大全集

「上野の散歩、お馴染みの下町風俗資料館へ参りましょう」
「おしめはお馴染み、布がさらしてあるのは最近ですねえ」

「駄菓子屋の店先。夏の間は『氷あります』の札が下がっている」
「四角に斜線は……」
「枡をデザインしたもので、『ます』と読む」
「なるほど」

「これも夏のみ。風鈴屋の屋台。売り声が無く、音で客を呼べるのはこの商売くらいじゃな」
「はい」

「職人の家。鋳かけ屋さんじゃろう」
「いかけやって落語にもありますね」
「鍋や薬缶の穴をハンダで塞ぐのじゃ。５０年前にはわしの住んでいた辺りにも流して来ていた」
「へえ」

「長屋の一間。家財道具が沢山あるのは、江戸時代なら豊かな住人じゃが、昭和では、このくらいが庶民」
「はい」

「お稲荷さん。ここでは本当におみくじを引ける。中吉じゃった」
「大家さんは中吉さんて誰だろうって悩んでいました」

「こちらは広い家の一室じゃな。招き猫があるのは、商家じゃろうか」
「襖ですからねえ」

「下駄屋さんの鼻緒」
「カラフルですね」

「荷車」
「これももう見かけませんねえ」
「関東大震災で家財道具を積んで逃げるのが避難の邪魔になって被害を大きくした。空襲の時に同じことが起こって見直されたという」
「戦後まで残ったんですねえ」

「建物の外観。ポストは現役。手紙を入れるとちゃんと届くぞ」
「いいですねえ」
「ということで、久し振りですので、一通りご紹介しました」