名作落語大全集

「さて、選挙は自民が強いようじゃな」
「そうなんですか」
「理由は幾つか」
「はい」
「まず、党内では選挙やるぞって事前支持をしておいて、総理本人は一度も口にしておりません……とだけ説明していた」
「そうでしたね」
「野党も信じてはいないが、やはり活動開始が遅れた」
「それで与党は強い」
「第二に、何を争点とするか見えないようにした」
「そうですか」
「消費税の是非を問うといいながら、来年必ず上げると明言して、アベノミクスの承認という訳の分からない問題点を出した」
「そうでしたねえ」
「それで肝心の原発や集団的自衛権は口にしない。川内原発のお膝元でも、原発は一言も触れないという……」
「何も争点がなかったということですか」
「野党がまとまらず、ゴタゴタして、結局力のないまま選挙になった」
「はい」
「第三に、天気が崩れるという予想が見事に的中。投票率が下がれば、与党は勝つ」
「へえ」
「そして、最後に、アベノミクスの是非が争点として残ったが、国民はこれに実感を得ている」
「え……そうなですか」
「そうなのじゃ。アベノミクスで我々に直接関係する部分、物価を上げて給料も上げて……その部分が半分は実現している」
「そうですかねえ」
「牛丼の大幅値上げが印象深いし、バター、チーズ、牛乳などの乳製品」
「品不足もありました」
「こうして物価はアベノミクスの狙い通りに上がっている」
「でも給料は全体の値上げの４分の１くらいしか上がってないでしょう」
「考えてごらん。売り上げが上がって、会社の利益が上がって、それから社員の給料を上げるのじゃろう。その第一歩ということじゃ」
「ううん……大丈夫かな」
「それを国民は選んだのじゃから……ただ、安倍政権はここまでも国民の声を聴かずに勝手に進めてきたからなあ……さらなる暴走が怖い」
「はい。見守っていきましょう」