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「わしは学生時代、学校の図書館でパガニーニを読んで以来のマニア」
「もう40年以上ですね」 「ということで、その作品を全部まとめようと思った」 「はい、参りましょう」 「M.S.番号というのがあって、マリア・ローザ・モレッティとアンナ・ソレントが目録を作ったときの番号。これが現在の資料」 「へえ」 「ということで、ほぼ年代順に並べられているが、疑問もある。わしも自分のコレクションをこの番号で並べてみた」 「はい」 M.S.1 変奏付カルマニョーラ 未詳 M.S.2 協奏的ソナタ(ソナタ・コンチェルタータ) ヴァイオリンとギター 作品61とあるが疑問。他のソナタでは伴奏に回っているギターが、ヴァイオリンと対等に扱われる。1803年に作曲され、十代から援助を受けていたヴェネチアの貴婦人エミリア・ディ・ネグロに献呈されている。 スコットジョン&ワイベルグ、テレベシ&プランバウアー、フゲット&サヴィノ、シャハム&セルシェルの演奏を所有。 M.S.3 大ソナタ(グランド・ソナタ) ヴァイオリンとギター 作品39とあるが疑問。本来は「ギターのための・ヴァイオリン助奏付」と題されている。ギタリストのルイジ・レニーニャと共演していた1830年頃の作と伝えられ、次のような逸話がある。 パガニーニの作品は、自分が演奏するヴァイオリンが華やかに活躍して、ギターは単なる伴奏に終わっているものが多い。不満を持ったレニーニャが、今度は楽器を取り替えて演奏してみようと提案し、パガニーニも受け入れた。ところが、示されたのがこの曲で、ギターが主役となり、ヴァイオリンはオブリガードを添えるだけの物だった。 面白いが、最近の研究では「協奏的ソナタ」と同じ1803年頃とされ、そうなるとレニーニャは13歳ということになるので、このエピソードも眉唾ということになる。 ギター・ソロでも全く問題なく演奏され、特に第2楽章の美しい旋律が単独で取り上げられることもある。「ロマンツァ」というタイトルが演奏会やCDのタイトルにも見える。 スコットジョン&ワイベルグ、テレベシ&プランバウアー、フゲット&サヴィノ、シャハム&セルシェルの演奏を所有。ツィガンテのギター独奏版も。 M.S.4 謝肉祭のディベルティメント 2つのヴァイオリンとチェロ リズミカルな小品21曲から成る。最後はお得意の変奏曲。全体を通して共通のメロディもある。 パガニーニ四重奏団の演奏を所有。 M.S.5 ナポレオン・ソナタ ヴァイオリン・ソロ(管弦楽伴奏) 1807年、25歳で初演。これも有名な逸話がある。 ナポレオンの妹エリーゼに仕えていたが、給料は安いのにこき使われる。昼から夕方にかけてはヴァイオリンを歌わせ、夜はエリーゼを歌わせなければならない。そこで「愛の二重奏」という、G線とE線の2本だけで愛を歌うと曲を作り、他に愛人がいることを匂わせた。エリーゼは失神し、相手を探すが分からない。嫉妬した彼女はナポレオンの演奏会で、今度は1本の弦で愛を語れという難題を出した。つまり弦1本で和音を演奏しろというのだ。 序奏付の変奏曲というパガニーニお得意のスタイル。細かい装飾音や分散和音、ハーモニックで高い音を出すなどのテクニックを駆使する。最後は低音とハーモニックで二重奏になっていくが、早い前打音で両方にメロディが聞こえるようにした。最後は3オクターブにわたる音階を聞かせる。 初演は大喝采を巻き起こし、3度もアンコールされた。エリーゼはまたも失神。失神が癖になって医者に警告され、遂にパガニーニを諦めることになる。 アッカルドの演奏を所有。表紙が映画『春の交響楽』でパガニーニを演じた姿で、中のきちんとしたプロフィール写真と比べるのも一興。 M.S.6 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 小品。ミレンコヴィチの演奏を所有。 M.S.7 不明 M.S.8 アドニスの入場 未詳 「ナポレオン・ソナタの伝説が本当なら、そのあたりに『愛の二重奏』が入っていなければならないのじゃが、M.S.番号が見つからない」 「はい、未詳の7番も怪しいですね」 「このように、まだ研究が必要。9からはセットの楽曲なので、次回」 「はい、続きます」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.13 05:20:49
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