名作落語大全集

「蝦夷地はかなり奥へ参りました。塘路駅から塘路湖に沿ってバス移動」
「はい」

「なかなかの景色が続く」
「いいですねえ」

「鶴も見えた」
「はい」

「これも」
「一枚でいいでしょう」
「毎日一度は見たな。熊は出なかった。小鹿が出たのは撮り損ねた」
「はいはい」

「こうして６０キロのドライブで摩周湖に到着。残念なことに雨になりました」
「大家さんは晴れ男でしょう」
「観光地で傘をさして見に行くというのは、生涯３度目じゃな」
「はい、残念」

「摩周湖。では一曲。
　♪霧に抱かれて～　しず～かに眠～る～」
「ジャジャジャジャン」
「♪にくいあんちくちょうの　顔めが～け～」
「あれ……大家さん、また途中で歌が変わっていますよ」
「え……お前が余計な間奏を入れたからじゃろう」
「違います」

「はい、天気が悪い方が霧は出ないということで」
「よく見えますね」

「リスさん、おいしそう」
「何でも食べようとするんだから」

「お昼は摩周の豚丼。お天気の関係でバス内でいただく」
「はい、遮光ガラスのため青く写っています」

「牛はぎゅうどんと言うから、これはとんどんと言うのだろうと思ったら、皆さんぶたどんと言う……どうも基準が分からない」
「どうでもいいことにこだわってますね」
「デザートはメロン。お店では８分の１を２００円で試食しているが、特別に１００円にしていただく」
「へえ、どうすれば負けてくれますか」
「俺を誰だと思っているんだって言えば負けてくれる」
「また迷惑をかけてるな」
「メロンはお土産の写真で最後にまた紹介」
「はいはい」
「ということで、続く」