名作落語大全集

「スマップ細胞で話題になった小保方さんが」
「スマップは解散騒動。ここはステップでしょう」
「スキップじゃ」
「スナップでしたっけ」
「まあその細胞で話題になった小保方さんが、自身の体験を元にしたサスペンスを書いた」
「え、サスペンスですか」
「そうじゃ。テレビでは面白がって実話だと言うじゃろうなあ」
「違うんですか」
「まず疑惑の中心である論文……大学の論文も他からの引用、スタップ細胞の時も同じ……その疑惑については触れていない」
「はあ」
「それから、実験に成功したのに、それが無いものとされている」
「でも、再現も失敗しましたね」
「それが、成功した細胞の元になる物が全て紛失していたと言う」
「誰かが隠したんだ」
「それで、主人公の女性だけが疑惑を負うように、組織的な罠が仕掛けられたのじゃな」
「まさにサスペンスですね」
「そもそも、成功したというのが彼女だけというのがおかしい。グループで研究したのに、他の人は誰もスタップ細胞を確認していないのか」
「あ、確かに」
「真実を述べたのだとすると、そういう大事な部分を全て包み隠した身勝手なものじゃな」
「はい」
「つまり、これは最初に述べたとおり、自身の体験を元にした創作という結論になる」
「なるほど、見事な推理ですね」
「テレビでは売ろうとして宣伝に協力するじゃろうな。関係者の反論を待つとか……でも、そういう風に読むと、反論自体が馬鹿馬鹿しい」
「はい」
「ということで、面白い作品が出たというご紹介でした」