名作落語大全集

「震災から5年になりました」
「幸い茨城県南なので被害は少ない。
　我が家では食器棚が横に揺れたので、中はほとんど割れたが飛び出さなかった」
「ラッキーですね」
「本棚は正面に向けて揺れたので中身が全部飛び出し、倒れた棚がドアを押さえて開かなくなった」
「大変でしたね」
「業者を呼ぶとゴールデンウィーク以降になるというので、ドアをのこぎりで切った」
「すごい」
「まあ、後は台所のタイルにひびが入った程度」
「まあよかった」
「さて、それから５年、我が町取手と、ちょっと南の千葉県柏市。この二つは、避難区域以外で最も放射線量が高い区域になっている」
「はい」
「その状態が続いている。まあ政府は何としても原発の問題をうやむやにしようと、放射線は人体に影響はないと言っているしなあ」
「そうですか」
「バカいちって人の……チェルノブイリでも、放射線で死んだ人は一人もいません。
　最近の人……放射線が危険というのは民主党政権の作ったもので、科学的根拠はない。だから今すぐでも避難区域を解除したい」
「どっか他人事ですね」
「アベ君だって、日本経済に一番必要なのは原発。福島も完全にコントロールされていて、震災後に着くった世界一厳しい基準を満たしたから絶対に安全」
「どうも納得いきません」
「先日の原発稼働差し止めもそうじゃな。地元はお金を出しているから必要と感じるが、他の区域が口出すのはおかしい。福島の避難民が原発差し止めを訴えた裁判は、全て無関係の人が口を出すことではないと却下された」
「あらら」
「因みに、これまで原発ノーを出した裁判長が数人いるが、全て事務職に移されたのか、名前が消えている」
「国の政策に反するから当然ですね」
「電力自由化も、既存の電力会社は原発によって絶対に安心安全な供給が出来るって自民党は言っているし……」
「ううん、直接ではないとはいえ、我々でも考える問題ですがねえ」
「とまあ、本日これぎり」