第119話 学童クラブにおける障害児の受け入れ
全国の多くの学童クラブでは「障害児の受け入れ」というものを行っていて、それに伴い障害児の受け入れ枠や学年園長、職員の加配といったシステムがつくられているところがあります。 学童クラブにおける障害児の入会は、まず入会相談があったときに、保護者と面談しまた子どもを観察します。子どもの様子は現在保育園や幼稚園に通園している子どもならそうして園に赴き、保育中の様子を観察するとともに担当教員や保育士、園長などから話を聞きます。必要に応じて担当医や子ども家庭支援センター、児童相談所などとも連絡を取り合い情報収集します。 そして「障害児の受け入れ枠」という障害児だけの定員があり、それを越えていなければ学童クラブに入会することができます。これは例えば学童クラブの定員が40人だとすると、そのうち2名までは障害児枠として受け入れますよ、といった障害児のみの定員です。よって現在25名しか在籍していなくても、すでに障害児が2名在籍していたら、たとえ全体の定員に空きがあってもその子は入会することができないのです。こうしたシステムは一つの学童クラブで担当している正規職員が責任を持って障害児をみることのできる限度としてもうけられているのです。中には障害を持っていようとそうでなかろうと何人でも見ることができますよという指導員もいれば、障害児が一人でもいたらとても不安で自信もって指導できないという指導員もいます。そうした指導員の力量をおしなべて障害児枠というものの数が決められているのです。 さらに障害児には「学年延長」というシステムがあるところがあります。これは、おおむね小学三年生までとされている学童クラブの学年枠を障害児に限っては例えば小学六年生までであるとかに広げている制度であります。学童クラブがなぜ小学三年生までかということの詳細は後日ご紹介することとして、おおむね自立して留守家庭を過ごすことのできる年齢に健常児は達したとしても、障害児(特に知的障害児・精神障害児)に関しては発達の遅れからまだ保育が必要であろうとの考えからその幅が広げられているのです。もちろん自治体によって様々ですが、小学四年生までであったり、五年生、あるいは六年生であるところが多いですが、中には特に年齢による制限は設けず中学生になっても学童クラブを利用できる施設もあるようです。 またこうして、障害児が学童クラブに入会すると本来の職員数に加えて「加配」といわれる職員配置がなされることがあります。すなわち本来健常児だけで運営するのなら指導員数は○名と決まっているのですが、そこに障害児が加わることにより、障害児○名にいたして職員を○名追加しますよという制度です。一例として、障害児をA,B,Cの三つのランクに分けているところがあります。Aランクは重度の障害を持つ子を指し、一対一対応といって障害児一人に対して指導員一名が配置されるというランクです。そしてBランクはAランクほど障害が重いわけでもないが支援が必要な子をさしていいます。たいてい2-3人の障害児に対して一人の職員配置がされるというランクです。またCランクはいわゆるボーダーライン児(この表現には賛否両論ある)であり、ちょっと気になる子や発達に遅れがある子などのカテゴリーにある子を指します。それらは特定の子につく為の指導員というよりは学童クラブ全体を見るためのプラスアルファの要因として加配されることが多いのです。 こうして学童クラブで障害児を受け入れるに当たっては、必要な予算とシステムを作って受け入れているところが多くあるのです。もちろん中にはそんな制度やシステムなど何もない中で受け入れている施設もありますが、最近ではそうしたシステムが次第に整うようになってきました。