第89話 仕事相手の名前の呼び方2 外部の方
仕事相手の名前の呼び方2 外部の人 前回は同じ職場であったり同じ組織であったりする方の名前の呼び方についてお話させていただきましたが、今回は業者や取引先、あるいは地域の方や行政など組織外の方に対する呼び方についてみていきたいと思います。 組織外の人に対する呼称について直接ふれる前に、まずは組織外の人に自分の組織内の人を呼ぶときにはどう呼んだらいいのかについてお話させていただきます。例えば次のような電話がかかってきたとします。「こちらは○○株式会社の○○と申します。そちらで幼児を担当している鈴木さんいらっしゃいますでしょうか」と。しかしたまたま鈴木さんは外出中で今施設にいません。そうしたときにその電話を受けた次のように答えます。「すみません。あいにく鈴木は外出中ですので戻り次第こちらから連絡させますが、いかがいたしましょうか。」と。すなわち外部の方にたいしては「鈴木」と呼び捨てにし、なおかつ「連絡させる」と命令調になります。これは鈴木さんの立場が課長であってもあるいは何十年も上の大先輩であっても組織外の方にたいしては同じ対応になります。こうした電話の受け答えや接遇に関しては後日また詳しくご紹介させていただきます。 さて本題である組織外の人への名前の呼び方ですが、同僚への呼び方とはまた少し違いがあります。これは文語と口語ではその表現が大きく変わると言うことです。 まず電話や直接会話などで用いる口語の場合、先方の役職が課長以上の方にたいしては名前に役職名を付して呼びます。「鈴木さん」が「部長」であったら「鈴木部長」と呼びます。決して「鈴木さん」と呼んではいけません。しかし、先方の役職が係長以下であるのなら、その親近度によって変わります。例えば「佐藤さん」が「係長」で初めてお会いする方であるのなら「佐藤係長」とお呼びします。しかし、毎日のように納品にきていて日常的に親しい仲だったとします。その場合は「佐藤さん」と呼ぶこともあります。また町内会や地域団体の場合、必ず役職で呼ばなくてはならないのは会長などのトップの方のみです。その他の方は基本的には「○○さん」でお呼びするのがベターでしょう。というのも「○○副会長」と呼ばれたとしても、本人はそれを望んでいないことが多く、また周りからも「嫌みか?」と思われてしまうこともあります(「会長になれず副会長で収まっている」と嫌みに聞こえてしまうこともある)。ただし、ごくまれに役職名で呼ばれることを望む方もいらっしゃいます。そうした方の場合は必ず役職名を付してお呼びしましょう。いずれにしてもご本人の意向と性格をよく知らなければなりません。 次にお手紙やファックス、メールなど文語の場合はどうでしょうか。この場合は文頭の宛先などに用いるときと文内に用いる時とで少し違いがあります。宛先でお名前を記入するときは、役職のある方は組織名・所属部署名・名字・役職名がそろっていないといけません。例えば「松田販売株式会社 営業部第二課 松田課長」というようにであります。もし特定の人物宛でなく組織宛であれば「御中」を使います。例えば「松田販売株式会社 営業部第二課御中」といようにであります。ただしトップである社長宛の場合は二つの書き方があります。ひとつは「松田販売株式会社 代表取締役社長 松田武様」であり、もう一つは「松田販売株式会社 代表取締役 松田武社長」であります。どちらでもかまわないですが、私は前者の方をよく見かけますので、前者を使うといいでしょう。あくまでも想像の範囲ですが、後者だと「社長」が強調されているような気がするので、必要以上の表現をすることによって嫌みにならないよう前者のような表現を使うのではないかと思っています。また平社員は「○○様」と使うのが一般的です。すなわち「松田販売株式会社 営業部第二課資材係 松田様」というようにであります。会社以外でも、地域団体などでは役職名のある場合は必ず役職名を付します。 次に文中に呼称を用いる場合ですが、ここでは社長や取締役、課長と部長、係長以下で表現を変えます。社長や取締役に関しては「○○様」、課長と部長については「○○部長」「○○課長」、係長以下については「○○様」とします。地域団体などでは、会長は「○○会長」、副会長以下は「○○様」ないし「○○さん」とします。