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カテゴリ:イギリス映画
仲の良い姉妹だった。
姉はヒラリー、妹はジャッキー。 色違いのお揃いの服を着て戯れる姿、 フルートとチェロは二人だけの世界へ連れていく。 だが大人になるに連れ別々の世界へ。 姉は音楽とは離れ家庭をきずき、 妹は天才チェリストとして名声をはくす。 ジャクリーヌ・デュ・プレ、髪を振り乱して演奏する、 伝説のチェリストは彼女のことである。 姉と妹の視点を交互に、 二人の女優が素晴らしい演技を見せる。 エミリー・ワトソンの起伏のある強い演技を、 レイチェル・グリフィスが しっかりと受け止めている。 子供の頃、ヒラリーのフルートが先に注目され 演奏の録音についていったジャッキーは 姉の晴れの場面を滅茶苦茶にする。 有名になり演奏会に飛び回るようになっても、 家族には近況の手紙ではなく、 自分の洗濯ものを送りつける。 挙げ句の果てに、 夫がいるのに 姉の夫とセックスをしたがる。 それがジャクリーヌ・デュ・プレ。 演奏となれば音楽の神が降臨する。 人々は絶賛する。 しかし彼女の望みは別のところにあった。 ヒラリーの望みも別のところに。 だが妹は彼女の望みを叩きつける。 見せつけるのだ、才能の差、というものを。 仲のいい姉妹だ。 何も言わずともジャッキーはヒラリーが好きで、 ヒラリーはジャッキーの内面を理解している。 だがお互いを理解しあっていればいるほど、 どうしようもない感情が湧きでてくる。 妬みや嫉妬、 満たされることない願望。 理解しても赦すことができず、 理解しても認めることができない。 仲のいい姉妹なのだ。 だがどうしようもない感情を 消すことができない。 仲のいい姉妹の内面とさらけだしたのは、 二人の女優の上手い演技と、 アナンド・タッカー監督の巧さだろう。 大切な家族、大切な兄弟姉妹、 愛する人、友人。 どんなに素晴らしい人間関係であろうとも 内面では清濁を合わせ飲んでいるのだ。 だからこそ、ヒラリーは涙を流す。 カーラジオから流れてきた 妹の死のニュースに。 一夜でも夫を奪い、 散々人生を掻き乱した妹に。 ジャクリーヌ・デュ・プレは 多大なストレスで情緒不安定となり、 20代後半から「せき髄硬化症」となり、 チェロの演奏もままならないまま 42歳で生涯を閉じる。 自由にならない手で必死に太鼓をたたくさまが、 やっと彼女が重圧から解き放たれて、 自分の音楽を奏でているようさえ見えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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