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カテゴリ:アメリカ映画
「ジョージ・カプラン」
そんな男は、最初からいなかった。 アルフレッド・ヒッチコック監督の 1959年の作品。 120分をこえるが、最後まで飽きさせない。 過剰な興奮を演出することなく、 夢みるように鑑賞させてくれるサスペンス。 映画の中の広告業界にいる男は、 よく働きよく動くが、身勝手なようである。 ロジャー・ソーンヒルも例外ではない。 先客のいるタクシーに割り込んで乗り込んで、 善行をさせてやったと嘯く。 だが、行動力は尋常ではない。 「ジョージ・カプラン」 その名の男に間違えられ、 タウンゼントと名乗る男の一味に 飲酒運転を強制させられ殺されかける。 その後、タウンゼントに国連へ会いに行ったが、 別人だった上に、目前で殺されてしまう。 ナイフにべっとり指紋をつけたソーンヒルは、 殺人犯として新聞のトップに載る。 今度は「ジョージ・カプラン」に会うために、 追っ手をふりきり、汽車に乗る。 その「ジョージ・カプラン」、 実はアメリカの秘密情報部が仕組んだ、 架空の人物だったのだが。 ケーリー・グランドが、 縦横無尽に動き回ってくれる。 酩酊状態の千鳥足から、ややマザコンの姿も。 もちろん、逃亡劇は多様に用意され、 エバ・マリー・セイント演じる イブ・ケンドラーとの、食堂車での会話のシーンは、 心地よい視線と台詞と間合いで、 夢みるような恋愛の始まりを見せてくれる。 なんと贅沢な映画だろう。 オープニングのセンスの良さに目を見張る。 高層ビルにそう、俳優とスタッフのロゴ。 冒頭から、ヒッチコック監督、登場。 彼の自作の出演は有名、見つけられて、楽しい。 見渡す限り何もない 砂の茶色が広がるブレイリーという場所。 カプランと会える、とバスから降りたソーンヒルは、 農薬をまくセスナ機に襲われる羽目になる。 音が効果的に使われる。 時折、行き交う、車のエンジン音、 遠くだったのが、近づいてくるセスナ機の音、 身体を伏せれば銃弾の音が彼の傍らに。 カメラワークの贅沢さ。 思い切ったアップとアングルで、 登場人物を際だたせながらも、 遠近を利用したロングショットは、 奥行きのみならず、広さや高さも見せる。 人物の配置や目線も考慮されている。 シンプルにさえ見えるのに、 舞台装置のみならず、緊張感だけでなく、 ストーリーや、感情もしっかりと語っている。 やはり、贅沢だ。 浅めだが、青を基調とした色、 鉄道のポーターの赤い帽子、イブの赤い服、 配色が、映画の遊びとなる。 細かい伏線が、隅々に行き渡り、 展開が二転三転するが、過剰な緊張はない。 あれもこれも、の、贅沢な映画。 夢みるようなサスペンス映画。 「ジョージ・カプラン」 そんな男は、最初からいなかった。 全ては夢だったのか。 危険をともに乗り越えた男と女は、 夫婦となり、汽車にのり、愛し合っていた。 ラシュモア山での危機のときにした ソーンヒルの約束が実現している。 縦横無尽のソーンヒルの活躍も名場面だが、 最後の最後のハッピーエンドが、 この映画をステキな夢にしてくれている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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