打った～！！
スタン・ロス、3000本安打達成！！！

見事、スタンドの少年がキャッチ！
メジャーリーガーのメモリアルボールだ、
少年の宝物になるだろうと
誰もが微笑ましく思うところが、
スタン・ロス、眼光鋭く、
巨体で脅すようにボールを奪い取ってしまう。
自分の経営するバーに飾るために。
ズラリと壁に並んだ白球は全て、
自分が打ったメモリアルボールである。
そしてスタン・ロス。
殿堂入り確実と言われる記録を作って、
シーズン途中で勝手に引退してしまうのだ。
極悪顔の黒人バッターは嫌われ者に！
でも本人は我関せず、
の、はずだった・・・。

なんと、9年後、記録ミスで、
スタンの記録は2997本だったことが発覚。
揶揄嘲笑を受けながらも、
47歳にしてスタンは再びバッターボックスに立つ！

超・個人主義、スタン・ロス、
記録を名刺にビジネスをして大もうけ、
ウハウハ人生を歩むつもりなのは丸出しである。
だがシーズン途中の引退で完全無欠のヒールに。
そんな彼がチームプレーを知る。
グラウンドでは、派手なプレースタイルの選手たち。
超・個人主義は今も昔もいる。
ベンチでガム噛んでオシャベリの選手、
英語スラングがしゃべれない日本人投手なども。
メジャーリーグの現場の雰囲気が
垣間見られる興味深い作品なのである。

47歳、約10年のブランク。
球は思った以上にはやく、まるで打てない。
だが、衰えた体力をカバーして、
選球眼や野球センスでヒットを打ち始める。
2999本達成。
チームも波に乗る。
スタンは本拠地で記録を達成するため、
ロード中の休暇を言い渡される。
3000本安打達成か。
最後のスタンの選択は感動を呼ぶ。
個人主義とチームプレイ、
野球というのはホームランでも勝てば、
犠牲フライやバンドでも勝利する場合がある。
だが何も彼は、個人主義を止めたワケではない。
第一、生来の性格なんて、
そんなに簡単に変わるはずがない。
スタンの唯一の友人がそれをわかっていて、
背中を押すように呟いている。

「君はいつも自分のしたいようにしてきた。
　だから今度のそうするんだろう。」

言葉の壁がある日本人選手にも、
この物語はスポットライトをしっかりあてている。
恵まれぬ環境にあってもなお、
したいことをするために努力をして、
ガンガンしたいことをしているのである。
実はソレって、
簡単に出来ることじゃない。
スタン・ロス、
47歳、黒人で悪人顔で、しかも嫌われ者、
マイナスだらけの設定でなお、
「大きな顔」をしてガンガン好きなことをやっている。
だからこそ「大きな顔」が出来るのだ。

2005年7月15日、
史上４人目とされる3000本安打を
ラファエル・パルメイロ選手が達成した。
既に通算500本塁打も達成済、
だが、偉大な記録は8月1日に、
筋肉増強ステロイド剤の使用で
10日間の出場停止処分で汚点がついた。
現実とはなんとも過酷で皮肉なものだあろう。



パルメイロ選手の記事はこちら を参照させていただきました。