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南風一の世界

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2018/07/28
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   今を生きる   南風一

人は今日元気であっても
明日の夜を生きているかどうか
それは分からない

ちょうど1年前の今頃
まだ母は元気だった
まさかそれから3か月も経たないうちに
亡くなってしまうとは予想もしなかった

母は当時でもう1年以上ベッドの上に寝かされていたから
背中も痛かっただろうし
手足を動かすことさえ億劫だっただろう
昨年8月にはもう自分の手でスプーンを持って
流動食を口に運ぶことさえ腕がだるいといって
食事を放棄していた

そんな母は「早くお迎えが来てくれないかな」と言うのが口癖だった
母の身体のだるさや毎日呼吸して生きていることの辛さなど
元気な私には想像もできなかったから
私はただ「まだ元気なんだからお迎えが来るまでは生きていればいいじゃないの」
「そのうちいよいよ死んでいくときにはお迎えが来るから。それまで待っていればいい」
そんな軽口を叩いていたものだった

母にとってベッドの上でものを食べることもできず
自分でトイレへ行くこともできず
ただ毎日天井の模様ばかりを眺めている
そんな日々の何処に自分が生きている意味があるのだろう?
そんな風に思っていたのだろう

母はまだ言葉を喋れる頃
やたら自分の父親の名前を何度も口に出した
私には祖父に当たるが余り可愛がってもらった記憶がないから
これといった思い出もない
ところが母にとっては思い出がたくさんあったのだろう
また母は8人兄弟姉妹の長女だったから
父親から可愛がって貰った記憶もあったのだろう
ベッドの上で「マサエさんは元気か?」(マサエさんとは母の父親の名前である)
私が「マサエさんはもうとっくに死んでしまったよ。俺が小学校4年生のときだったから
もう47年になる」と言ったら
「嘘ばっかり。お前、嘘を言ってはいけないよ」と言った

それから1週間後に母を病室に訪ねたときには
「マサエさんは亡くなったそうだね。葬式に行けなかった」と言ったりした

母は亡くなる1週間前からもう意識はなかったけれど
小さい頃可愛がって貰ったマサエさんに手を引かれて
天国へ昇って行ったのかなと思っている

 

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Last updated  2018/07/28 10:31:54 PM
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