本当に欲したこと 南風一
会社のシステムのセキュリティテストサービスの稟議書を見ていて
その会社は今やそんなことまでやっているのかと驚いた
元々独立系のシンクタンクには違いなかったけれど
今さらながらその専門性に認識を改めた
私は大学４年の年に同期の友だちと同じように就職活動を開始した
第一志望は確かにそのシンクタンクだった
採用条件がそんなに厳しかったわけではなかった
数学のテストがあったがさっぱりできなかったことはよく憶えている
役員やらベテランコンサルタントやらずらりと並んだ部屋に通されて
面接されたようだから多分私は落とされたのだろうと思う
後日下宿に電話がかかってきて
「専門性が違うのでという理由で採用を見合わせた」と言われた
そのときは「別に本命ではないし」と思っていたけれど
その後結局大学を留年して
１年後に理工系大学院へ進んだのはそのときの採用謝絶がよほどショックだった
ので見返してやろうという思いからだったに違いないと
今だから正直にそう思える
定年後は数学学習に磨きをかけて
考古学を数学的に研究するぞと思っている
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